豪ニッケル・ウエスト、車載用電池向け硫酸ニッケル拡販

 豪英系資源大手BHPビリトン傘下の豪ニッケル・ウエストは、クイナナ(西オーストラリア州)で建設を進める硫酸ニッケルの新工場の稼働に合わせ、高品質の硫酸ニッケルを日本や韓国、中国などで拡販する計画だ。来年4月をめどに稼働が見込まれる新工場では硫酸コバルトを含んだ硫酸ニッケルを製造する。

 需要拡大が見込まれる車載用二次電池用途での硫酸ニッケルの販売を拡大し、来年には同社の二次電池用途での販売比率は足元の60~70%弱から80~90%まで引き上がる見通し。

 同社では、同州パースのテストプラントで、電池用途に適した高品質の硫酸ニッケルを製造できることを確認しており、鉱石中のコバルト品位を高めて硫酸ニッケルに含有させる技術も確立した。硫酸ニッケルや硫酸コバルトはリチウムイオン電池の正極材料の原料で、日本と韓国、中国が主要消費国。硫酸ニッケルや硫酸コバルトという形で分離せずに販売することは需要家からも支持を得られているという。

 硫酸ニッケルの新工場は、生産能力が年産10万トンで、将来的には同20万トンまで拡張する計画(ステージ2)もある。ステージ2まで拡張されれば世界最大の硫酸ニッケル工場となる見通しだ。

 原料は、自社のMt・キース鉱山やラインスター鉱山からの鉱石で確保するもようで、その鉱石の性状は電池向けに適したものだという。

 世界的に電動車へのシフトが加速する中、車載用二次電池に使われるニッケルやコバルトの需要も急速に拡大すると見込まれている。

 同社ではニッケルの電池用途の販売比率が来年4~6月期に80%程度まで、来年10~12月期には90%程度まで高まっていくと予測している。

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