物材機構/新たな超伝導物質を発見

 物質・材料研究機構と愛媛大学は28日、新しい超伝導物質を発見したと発表した。発見したのは、錫とビスマス、セレンの化合物「SnBi2Se4」と、鉛とビスマス、テルルから成る「PbBi2Te4」の二つ。データ科学で新物質を探索するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の手法を用いて発見に成功したという。

 研究では、10万個以上の無機物質の結晶構造が蓄積された物材機構のデータベース「アトムワーク」の中の1500個の物質から計算で候補物質を絞り込み、実際に試料を合成。試料に圧力をかけながら電気抵抗を測定する装置を用いて超電導特性を確かめた。

 これまでの新物質の探索は、論文に掲載された結晶構造や原子価数などの情報をもとに研究者の経験と直感で進めるのが主流。関連した物質を網羅的に合成しなければならず、時間やコストがかかるため、効率的な新手法が求められていた。

 今回の研究成果は、MIを活用して新たな超伝導物質を効率よく発見できる可能性を実験的に示したことになる。

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