【MLB】大谷翔平、二刀流のベスト起用法は抑え? 元GMが私案「彼の打撃が必要」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

エンゼルスのチーム事情にも言及「本当に必要なのは抑え投手」

 ここまで15本塁打を放ち、メジャー挑戦1年目から米国に衝撃を与えているエンゼルスの大谷翔平投手。右肘内側側副靱帯損傷の影響で打者としての出場が続いているが、3度の実戦形式登板をこなし、投手としての復帰へも調整の段階を上げてきている。目前に迫る「投手・大谷」の復帰だが、二刀流右腕を“クローザー”として起用すべきという声が挙がっている。

 このほど、MLB公式テレビ局「MLBネットワーク」では大谷の起用方法を考える討論会を番組内で実施。コラムニストのジョエル・シャーマン氏、スポーツキャスターのブライアン・ケニー氏、米紙「ウォールストリートジャーナル」で野球専門記者を務めるジャレッド・ダイアモンド氏、ロッキーズ元GMのダン・オダウド氏の4人が大谷の起用法について激論を交わし、その中で大谷を外野に置き、試合終盤にリリーフで起用するプランが示された。

 この案を提示したのは、ロッキーズ元GMのオダウド氏。司会を務めたブライアン・ケニー氏が「ダンの考えでは、彼(オオタニ)を基本的にフルタイムの打者として起用するということです。そして、他の可能性として……彼は救援のエースとなれるということです。なにも9回に登板しないといけないわけではありません。ですが、私が(この考えについて)気に入っているところは、これならストレスが少ないからです」と切り出すと、オダウド氏は「それは最も彼を擁護できる役割になります」とした。

 オダウド氏はエンゼルスのチーム事情について言及。先発も不足しているものの、それ以上に絶対的なクローザーが存在しないことから「エンゼルスにとって最も大きな課題を考えてみてください。彼らは確かに先発投手を間違いなく必要としていますが、彼らが本当に必要とするべきは抑え投手です」と指摘。さらにケニー氏は「ファン目線ではどうでしょう。ショウヘイ・オオタニが右翼でプレーしていて、マウンドに上がるかもしれない。そうなったら、面白いと思いませんか?」ともコメントした。

走力に高い評価「彼の走塁は優秀なので、WARの数字も上がっていく」

 打者として週2、3試合に出場し、調整期間を設けて週に1度先発投手として登板するか、それとも毎試合のように打者として出場し週に3試合ほど9回(勝ち試合)の1イニングに登板するか。これについてケニー氏は「週3日で9回に25球程投げることで、彼の健康状態が改善するのかどうか。そうなるかもしれませんし、ならないかもしれません。ですが、彼ら(エンゼルス)がやっていたように、『週1度しか登板しないのだから7イニング投げさせよう』という考えよりかはまともだと思います」と考えを述べた。

 オダウド氏が「個人的な見方をすると、私がもしチームを管理する側の人間なら、彼の打撃が必要です。そして守りでも可能な限り必要となります」と語ると、シャーマン氏も「あなた(ダン)が先ほど言っていたことの一つですが、彼はエリートなアスリートです。現在、彼は外野を守っていませんが、私の想定では彼の運動能力ならフライだって処理できるということです」と同調した。

 オダウド氏はその走力も、大谷を毎日起用する要因に挙げ「とにかく彼を毎日出場させることです。彼の走塁は優秀なので、WARの数字も上がっていくでしょう。彼がオールスターに出場している場面を考えてみましょう。そこで彼は指名打者で出場し、9回に試合を締めくくるのです」とし「二刀流をするには、ブルペンから登板する方がより容易いと私は考えています」と語っている。

 これまでにも数多く語られてきた「投手・大谷」と「打者・大谷」の起用法。どちらかに専念すべきという声もあったが、一体、最良の形はどこにあるのか。確かに「打者・大谷」がほぼ毎日見られ、勝ち試合を「投手・大谷」が締める形は、ファンにとっては最もエキサイティングなものとなりそうだが、果たして……。(Full-Count編集部)

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