エデルソン(マンチェスター・シティ)、ファビーニョ(リヴァプール)、そしてヤン・オブラク(アトレティコ・マドリー)。
今のサッカー界で最高クラスの選手といえる若手3名が、6年前の2012-13シーズンには同じクラブに所属していたことを知っているだろうか?
それはポルトガルの中堅クラブ、リオ・アヴェだ。おそらく試合を見た人も多くないであろう、それほど世界的に知名度はないクラブだ。
そんなチームがなぜ有望若手だった彼らを一気に引き入れることが出来たのか。
それを表す言葉が、かつてメディアに載っていた。
『リオ・アヴェ=メンデスFC』
『リオ・アヴェ=ジョルジュ・メンデスの工場』
ジョルジュ・メンデスはジョゼ・モウリーニョやクリスティアーノ・ロナウドを担当していることで知られるポルトガル人代理人だ。彼とリオ・アヴェの関係は10年以上前から始まっている。
「Nextクリスティアーノ・ロナウド」
アリピオというブラジル人選手がいた。『NEXTクリスティアーノ・ロナウド』とも呼ばれた期待のアタッカーだった。
彼はレアル・マドリーとベンフィカに所属したものの活躍はできず、結局はブラジルに帰国しているのだが、15歳の時に彼を引き抜いたのがリオ・アヴェだった。それが2007年のこと。
そのアリピオの移籍を仲介したのがジョルジュ・メンデスの会社であるGestifuteだったことは、一部でよく知られている事実だ。
そしてレアル・マドリーもベンフィカも、Gestifuteと非常に関係が深いクラブであることで有名である。ヤン・オブラクはGestifuteの顧客ではないが、ベンフィカからのローンだった。
リオ・アヴェに所属した主なGestifuteの顧客
エデルソン・モライス
ネウソン・オリヴェイラ
ファビオ・コエントラォン
ロデリック・ミランダ
ジウ・ディアス
アハマド・ハッサン(コカ)
ベベ
フィリペ・アウグスト
ヴィトール・ゴメス
ブルーノ・ガマ
ガブリエウジーニョ
アンドレ・ジェラウデス
ラファ
ジュリオ・アウヴェス
エウデル・ポスティガ
ファビオ・ファリア
ヌーノ・カプーショ(監督)
ヌーノ・エスピリト・サント(監督)
現在ウォルヴァーハンプトンで指揮を執っているヌーノ・エスピリト・サントは、メンデスの「最初の顧客」であり「親友」である。
そのヌーノが初めて監督を務めたのがリオ・アヴェだった。では次に監督を務めたのは?バレンシア。メンデスの友人として知られるピーター・リム会長のクラブだ。
もはや「クラブのコンサルタント」に近い?メンデス代理人
メンデスは、他の有力代理人よりも一つのクラブに深入りするタイプの代理人であると言われる。
2006年に彼はブラガとパートナーシップを結び、数多くの選手を紹介してチームを成長させた。
ベシクタシュ(トルコ)にはリカルド・クアレズマ、シモン・サブローサ、ウーゴ・アウメイダ、ジュリオ・アウヴェス、シジネイ、ペペらを送り込んでいる。
他にもディナモ・モスクワ、アトレティコ・マドリー、レアル・マドリー、バルセロナ、デポルティーボ・ラ・コルーニャ、モナコ、マンチェスター・ユナイテッドらが複数の「メンデス顧客」を受け入れたことがある。
また、ベンフィカ、ポルト、オリンピアコス、バレンシア、モナコも重要なクライアントだ。
さらにウォルヴァーハンプトンは現在最もメンデスとの関係が深いクラブであり、多くの顧客がこの2年で送り込まれてきた。
リオ・アヴェは、ブラジル人の保有制限がないポルトガルリーグに所属しているため、南米に強いコネクションを持つメンデスにとっては使いやすいクラブだ。
ファビーニョの取引の際はドミトリー・リボロフレフ(モナコオーナー)とともにタックスヘイブン(租税回避地)の会社を使って選手の保有権を動かし、ほぼ代理人への手数料だけで移籍させていると『Football Leaks』に暴露されている。
このところのサッカー界では代理人の力が極めて強くなっており、クラブの経営に深く関与するようになっている。
リオ・アヴェはそのクラシカルな例でもあり、あるいは現在のサッカー界を先取りした存在だったといえるのかもしれない。