川崎でテロ対策見本市開幕 「死の商人」市民ら抗議

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市中原区のスポーツ施設「市とどろきアリーナ」で29日、イスラエル企業によるテロ・サイバー攻撃対策製品の見本市が始まった。イスラエルによるパレスチナ占領政策に関与する企業の出展に対し、市民ら約200人が抗議。会場で武器のカタログが展示されていることも判明し、非難を強めた。

 市民らは「軍事見本市をやめろ」「ボイコット!」と書かれた横断幕を掲げ、会場入りする関係者に「死の商人は出ていけ」「人を殺して金もうけをするな」と抗議の声を浴びせた。

 開会セレモニーではヤッファ・ベンアリ駐日イスラエル大使らがあいさつ。イスラエルを中心に米国、日本など6カ国の55社が設けたブースでは、招待を受けた企業関係者らが製品の説明を受ける姿が見られた。

 また、防護服を展示していたイスラエル企業がライフルやマシンガン、銃弾を商品として紹介するパンフレットを配布し、中原区の担当者が「武器の売買は行わないはずで不適切」と、撤去を求めるトラブルもあった。企業側は区の求めに応じたが、市民らは「武器の商談の場に公共施設が利用された事実は重い」「約束違反。ブースを引き揚げさせるべきだ」と市に対応を求めた。

 見本市を巡っては、市民団体「川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会」が「パレスチナ人の殺傷を通じて開発された製品の売り込みは許されない」と、会場の使用許可の撤回を市に求めてきた。これに対し、市は条例に照らして「武器などの危険物の展示はない」などとして許可していた。同会の杉原浩司さんは、当初案内されていたソフトバンクのセキュリティー事業担当者のプレゼンテーションが行われなくなったことを引き、「参加により企業イメージが悪化するのを恐れた結果だ。問題を抱えたイベントである証拠で、市は今からでも許可を取り消すべきだ」と訴えた。同会は最終日の30日も抗議を行うとしている。

見本市参加者に向け会場前で横断幕を掲げる市民ら=川崎市とどろきアリーナ

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