コベルコ建機がICT導入計画を公表、「誰でも働ける建設現場へ」 遠隔操作を実用化

 「誰でも働ける現場へ―」。コベルコ建機は、ICTを導入した製品や新技術の実用化に向けたロードマップを公表した。油圧ショベルの操作にICTやIoTを活用し、経験の浅いオペレーターや女性、ハンディキャップを持つ人たちなどが容易に建設現場の作業に携われる社会の実現を目指していく。

 直近では3次元のマシンコントロール(MC)技術を搭載した新型機を続々と投入する。今秋にもトリンブル社と連携した「SK135SR―5」のMC機を発売し、従来20トン級のみだった「ホルナビ・プラス」ブランドのラインアップを拡げる。

 12月にはトプコン社と連携した「SK200―10」の3次元MC機も販売を開始。さらに来春にはスウェーデン企業やライカジオシステムと共同開発した3次元MCとチルトローテータバケットに対応した「フルマシンコントロールシステム」を建機業界で初めて商品化する予定だ。

 すでにICT建機では測量データを元にした2次元や3次元のマシンガイダンス(MG)機が普及し始めている。MGはオペレーターの操作をサポートする補助的な機能だが、MC機はさらに一歩進み、自動制御も可能としたもの。コベルコ建機が初めて実現する「フルマシンコントロール」ではアームだけでなく操作の複雑性が高まるバケットやチルトの角度も自動制御でき、生産性を大きく高めることができる。

 将来に向けた革新技術では、5G通信が実用化される2020年ごろを見据え、遠隔で機械操作できる「K―DIVE(ダイブ)」の実用化を目指していく。Kダイブはオフィスのような屋内にモニターと運転席を置き、そこから遠隔で操縦できるため実際にキャブへ乗り込まなくとも作業を進めることができる。実現すれば建設現場の「テレワーク」も可能となるシステムだ。

 また従来は熟練者による操作が必要だった自動車の解体作業向けに、インターフェイス「Kラボ」の開発も進めている。直感的な操縦で難しい動作をこなせるため、従事できる人材の幅を広げることができる。

 これまで建機業界では耐久性や燃費性能といった「ハード」の部分で製品が競われてきた。ただ建設技能労働者が減少する中で、国土交通省が推進する「アイコンストラクション」への対応も急務になっている。ハード分野では「燃費のコベルコ」といった高いブランドを築いてきたコベルコ建機だが、今後はICTを使った「ソフト」でも先進性を示すことで存在感を発揮していく構えだ。

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