菊川工業が開発推進 マグネとアルミ合金の接合技術

 建築物の金属製内外装工事を手掛ける菊川工業(社長・宇津野嘉彦氏)は28日、摩擦攪拌接合(FSW)技術を用いて難燃性マグネシウム合金とアルミ合金の異材接合技術開発を推進すると発表した。鉄道車両や自動車などの陸上輸送機向けの軽量部材新製品の試作・生産・品質管理体制を確立。FSW技術の向上で、建築事業に次ぐ事業の柱に掲げる「金属加工受託事業」の強化につなげる考え。

 菊川工業は2013年にFSW装置を導入して以来、銅合金やアルミ合金の研究開発、実際のプロジェクトに対して実績を重ねており、16年からはマグネシウム合金のFSW技術の開発を進めている。こうしたノウハウを踏まえ、難燃性マグネシウム合金の摩擦撹拌接合技術についても、基礎技術の確立と課題の明確化まで分析。また同社が保有するFSW装置は2800ミリ×4千ミリまで加工ができる大型装置であることから、鉄道車両などの大型製品の接合実験を想定した場合でも、技術の早期確立を図ることが可能となっている。

 難燃性マグネシウム合金とアルミ合金のFSW技術の事業化に先立ち、全国中小企業団体中央会・千葉県地域事務局から7月2日、中小企業庁が推進する「平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の補助事業者として採択され、8月10日に補助金の交付が決定した。

 事業化を受けて同社は今後、難燃性マグネシウム合金とアルミ合金との異材接合技術の確立に向けて、特殊接合ツール(高速回転ツール)設計方法や摩擦撹拌接合時の温度・荷重・形状の各種測定方法、異材接合時の品質管理方法などを開発する。同時に測定設備の導入なども検討する。これらで確立した技術は従来材料におけるFSWへも水平展開し、同社の技術レベルを引き上げる方針。

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