【女子W杯】日本が前人未到の6連覇に向け台湾と決勝戦へ 「明日への準備が整いました」

侍ジャパン女子代表・橘田監督【写真:Getty Images】

ベネズエラを10-5の5回コールドで下した日本代表

 第8回WBSC 女子野球ワールドカップ(米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表は30日(日本時間31日)、スーパーラウンド第3戦でベネズエラを10-0の5回コールドで下した。開幕から無傷の8連勝と勢いに乗り、31日の決勝ではチャイニーズ・タイペイと対戦する。

 スイッチのオンとオフを見事に切り替え、完勝した。1回の攻撃中に雷警報が鳴り響き、一度全員ロッカールームに引き上げた。いつ再開するかわからない中断も、今大会3度目となれば、慣れたもの。2時間37分の中断中、選手たちは持ち込んだトランプに興じるなどリラックスして過ごし、再開と同時に一気に集中力を高めた。

 再開直後に橘田恵監督がタクトを激しく振った。1回1死一塁、3番・三浦伊織外野手(京都フローラ)の打席でカウント1-1からの再開。その初球にエンドランのサインを出したのだ。

「何か仕掛けないと相手にプレッシャーがかからない。ゲッツーを気にせずにやってみよう。いいボールが来たら行こう、来なかったら(一走の)中田の盗塁にしよう」。中断時間を利用して、指揮官がはっきりと言葉に出して指示を出すと、三浦が期待に応える。右前打で一、三塁とチャンスを広げ、ベンチは一気に盛り上がった。

 2死一、三塁から18歳の緒方佑華捕手(履正社RECTOVENUS)が右前適時打、17歳の田端凜々花(折尾愛真高)が右翼へ適時二塁打を放ち、この回3点を奪って主導権を握った。

橘田監督は「相手の士気を下げられたのは今日が初めて」と手応え

 2-1で辛勝した前日のチャイニーズ・タイペイ戦後に「早打ちで自分たちの首を締めている」と反省した橘田監督はこの日、じっくり行く場面と思い切って行く場面、バントの狙い目など細かく指示を出した。「これまでサインで意思疎通を図ってきましたが、選手に伝わっていませんでした。やはり、言葉にきちんと使うことが大切だと思いました」とその意図を説明する。

 指揮官の狙いを理解した選手たちは、相手をゆさぶる攻撃を生き生きと仕掛けていった。2回には無死一塁で田中美羽内野手(アサヒトラスト)が二塁へのプッシュバントによる内野安打でつなぎ、1死満塁から三浦が投前へ2ランスクイズを決めた。さらに2死一、二で重盗を成功させるなど、やりたいことがはまり、この回一挙5点を追加した。

 守っては、先発の石村奈々投手(履正社高)が変化球をうまく使い、3回を1安打無失点と好投。4回からリリーフした3投手も無失点で続いた。若手主体でベネズエラに完勝した。

「野球で相手の士気を下げられたのは今日が初めて。初めて野球らしい野球ができました。ここまで来るのに時間はかかりましたが、やっと明日への準備が整いました」と橘田監督。チームの完成度に手応えを感じながら、6連覇への最後の扉をこじ開ける。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

© 株式会社Creative2