【女子W杯】侍女子“近鉄イズム”最年少17歳捕手が躍動 「チャンスで回って来い」

侍ジャパン女子代表・田端凜々花(右)、石村奈々【写真:Getty Images】

打っては3打数2安打4打点、守っては4投手をリードし完封に導く

 第8回WBSC女子野球ワールドカップ(米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表は30日(日本時間31日)、スーパーラウンド第3戦でベネズエラを10-0の5回コールドで下した。開幕から無傷の8連勝と勢いに乗り、31日の決勝ではチャイニーズ・タイペイと対戦する。

 若手主体のメンバーで臨んだ試合。光ったのは「6番・捕手」で今大会初スタメンマスクをかぶったチーム最年少17歳の田端凜々花捕手(折尾愛真高)だ。打っては3打数2安打4打点、守っては4投手を完封リレーに導いた。

 雷警報と雨による2時間37分の中断後、田端は最初の打席を待ち望んでいた。「チャンスで回って来い。そこで打ったらカッコいいと思っていました」。願い通り、1点を先制した直後の1回裏2死二、三塁で打席に立つと、カウント0-1からの2球目変化球を右翼へ。ダイビングキャッチを試みた右翼手が弾く間に二塁を陥れ、適時二塁打で貴重な2点を追加した。「狙い通りには打てませんでしたが、運も実力のうち」と笑った。2回2死満塁でも中前へ2点適時打と勝負強さを見せつけた。

 17歳ながら冷静な判断力もある。初回の適時二塁打の打席は、橘田恵監督から三塁線へのセーフティーバント狙いもあると指示されていた。しかし「サードが浅かったし、1球目は外のボールでやりにくかったのでバットを引き、次ストライクが来たら全力で振ろうと思いました」と自分で状況判断して好結果につなげた。

祖父は元プロ野球選手、大舞台にも緊張感なしの“大物”

 リード面でも、パワーヒッターを相手に変化球をうまく使って凡打の山を築き、先発の石村奈々投手(履正社高)との高校生バッテリーで3回1安打無失点と試合を作った。試合に出場しない時にもベンチで正捕手の船越千紘捕手(平成国際大)の配球を勉強。「今日はインコースを相当使って、高校では使わない配球をしました。楽しかったです」と充実感いっぱいの表情だった。

 1965年ドラフト1位で投手として近鉄に入団した祖父の田端謙二郎さんのDNAを受け継ぐ大型捕手は、肝っ玉が座っている。試合前に橘田恵監督から「緊張してる?」と聞かれると、「いえ」と笑顔で即答。「大物になるぞ」と指揮官から声を掛けられた。

「今日結果を残さないと、次はないと思い、チャンスをものにしたいと思いました」という言葉通りの結果を残した。怖いもの知らずの17歳は今大会3試合に出場して6打数3安打5打点。若い選手たちの活躍に、橘田監督は「いい悩みが増えました」とうれしそうに笑った。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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