フジソレノイドの浅尾社長、カーボンナノチューブを研究・開発 コイル・モーター・線材などに利用

 平角銅線でエッジワイズコイル・空芯コイル・モールドコイルの試作、自動車部品組立・外観検査を手掛けるフジソレノイド(本社・兵庫県揖保郡太子町、社長・浅尾和司氏)はこのほど、浅尾社長の個人事業として「カーボンナノチューブ(CNT)」の研究・開発に着手した。事業母体となる『Team Asao』をほか3人と結成、次世代材料であるCNTを使用したコイル・モーター・線材などの研究・開発を進めていく。

 「研究・開発は井上翼静岡大教授や、井上教授が立ち上げたベンチャー会社・浜松カーボニクスからアドバイスを得ながら進めている」(浅尾社長)。

 素材は、浜松カーボニクス(静岡県浜松市、静岡大学イノベーション社会連携推進機構内インキュベーション施設311号室、社長・井上翼氏)から供給を受ける。

 今後1~2年を目途に紡績・絶縁の研究・開発に取り組み、小型モーター・センサーなど市場導入につながる製品の開発を目指す。長繊維カーボンナノチューブ(CNT)線材も販売する。

 最終段階としては小型モーターを開発し、医療機器・航空機・宇宙産業用モーターなどでの需要に対応していく。

 フジソレノイドは1993年の設立。事業の主体は自動車部品の委託生産で、自動車部品バックドアロック、インサート成形、電装部品なども手掛ける。年商が8千万円。従業員数が38人。生産品目は平角銅線エッジワイズコイル、熱硬化モールドコイル、特殊コイルなど。

 浜松カーボニクスは静岡大学発のベンチャー企業。静岡大学工学部井上翼教授グループが開発した世界でも類を見ない長繊維カーボンナノチューブで、高い材料特性を発揮できる真のアプリケーション開発を目指している。同社はカーボンナノチューブを通じた新産業の創出や技術的社会貢献を目的に設立。今まで成しえなかったカーボンナノチューブの繊維状の引き出し、紡績技術、量産技術、応用技術対応などを行うことで、製品化を目指している。

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