金属行人(8月31日付)

 あす9月1日は「防災の日」。1923(大正12)年同日に起きた関東大震災に由来し、国民に自然災害への備えを強化してもらう狙いで60年に創設された。政府もあす、南海トラフ地震の発生を想定した総合防災訓練を予定している▼地震だけでなく、台風や豪雨など自然災害のリスクは年々高まっている。特に今年は台風が多く、28日には21号が発生。8月中の発生は9個目と、統計上の8月の最多記録10個(60年と66年)に並ぶペースという。21号は来週、日本に近づく見通し。勢力が強いため、備えは万全にしたい▼自然災害への備えとして避難訓練などソフト面は大切だが、やはりインフラなどハード面の対策が大きなカギになろう。河川や海岸の堤防整備や公共施設の耐震化といった政府の取り組みの一方、地震や火災に強い家づくりという面では民間にも大きな役割が求められる▼日本では大半の戸建て住宅が木造だが、地震や火災への備えという視点でRC造(鉄筋コンクリート造)の戸建てがもっと普及しても良いのではないか。快適性やコストなどさまざまな課題はあろうが、ホテルなどの建築分野でRC造からS造(鉄骨造)へと需要がシフトする中、戸建て住宅の分野で災害に強いRC造の特性をしっかり知ってもらう取り組みは重要だろう。

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