iPSで腎臓病再現 熊本大研究グループ治療法開発に期待

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 熊本大発生医学研究所(熊本市中央区)の西中村隆一所長(55)=腎臓発生分野教授、写真上=と谷川俊祐助教(38)=同下=らの研究グループが、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から小児腎臓病「先天性ネフローゼ症候群」の腎臓組織を作り出すことに成功した。治療が難しい同症候群の仕組み解明と治療法の開発が期待される成果で、30日付の米科学誌電子版で公表した。

 西中村所長らによると、再現できた病態は血液の老廃物をろ過する腎臓の糸球体を構成するタンパク質「ネフリン」の遺伝子変異による疾患。九州に約10人の患者がおり、血液のタンパク質が尿に漏れて浮腫(むくみ)を引き起こす。

 グループは、患者の皮膚からiPS細胞を作成。腎臓組織へ誘導すると、タンパク質をこし取る正常なろ過膜を形成できない様子が観察できた。一方、iPS細胞のネフリン変異を修復すると、膜の形成が正常化。この結果、ネフリン変異の修復が治療につながる可能性を示したという。

 同研究所は、2013年にiPS細胞から腎臓組織を作ることに世界で初めて成功。腎臓の再生医療研究と病態のメカニズム解明を進めている。西中村所長は「さまざまな腎臓病を治す手掛かりをつかみ薬剤の開発につなげたい」と話している。(松本敦)

(2018年8月31日付 熊本日日新聞朝刊掲載)