コラム凡語:女子体操「場外戦」

 リング外の肉弾戦。時として観客のパイプいすが凶器になり、客席は無残な状態となる。プロレスでおなじみの光景だ▼こちらも「場外戦」なのか。コーチの暴力行為を巡り、女子体操の宮川紗江選手と日本体操協会が同じ日にそれぞれ記者会見を開いた。ただ何か釈然としない▼選手は加害者のコーチ処分軽減を求め、協会幹部からパワハラを受けていたとも主張した。一方、協会側は暴力を許さない姿勢を訴えた。パワハラ疑惑に対し当該幹部は「選手第一でやってきた」などと反論する▼関係者の見解が食い違っている。協会に不信を示し、宮川選手は世界選手権の代表候補は辞退する意向だという。五輪有望選手らしいので残念だ。第三者委員会も立ち上がるが、徹底した調査が必要だろう▼場外と言えば元監督らの指示で反則タックルをした日本大アメフット部員も会見した。あの潔い姿勢が印象に残る。スポーツ界は不祥事が続く。女子レスリングのパワハラ、ボクシング連盟の助成金不正、居合道の段位不正審査…競技の外で起きた事例も多い▼一部選手の不適切行為があったが、開催中のアジア大会は日本のメダルラッシュに沸いている。2年後の東京五輪へ期待も高まる。アスリートには競技場の晴れ舞台で輝いてほしい。場外戦は似合わない。 [京都新聞 2018年08月31日掲載]

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