【新型コロナ】出産の「3密」懸念、妊婦にPCR検査を 助産師ら署名

 新型コロナウイルス感染の症状がなくても出産間近の妊婦がPCR検査を公費で受けられるよう、横浜市の助産師らが署名運動を始めた。一部の自治体は希望する妊婦全員を対象に検査を始めたが、神奈川をはじめ大半は導入していない。「3密」になりがちな出産現場で、母子の安全を守ろうという試みだ。

 11日にネット上で署名運動を始めたのは、助産師や母親らでつくる「カンガルーの会」(横浜市青葉区)。会によると、体温調節が未熟な新生児を外気に触れさせないよう、分娩(ぶんべん)室は換気できず、「密閉・密集・密接」になりがち。にもかかわらず、呼吸が荒くなる陣痛時はマスクを着けていられない妊婦がほとんどという。

 署名運動に賛同する助産院「バースあおば」(同)代表で助産師の柳沢初美さん(68)は「お産は命がけで、少しの間違いも許されない。コロナ感染の不安を抱えたままでは、妊婦だけでなく、現場の助産師や医師にも大きなストレスになる」と話す。

 出産が近い住民を対象とした検査は、福井県や京都市が先行して実施している。神奈川県内の自治体で例はなく、医療機関がそれぞれ判断している。

 会はこのほか、出産に立ち会うパートナーの全額公費による検査実施と、休業中の妊婦の所得補償を求めている。6月上旬にも集まった署名を、国に提出する。署名は会ホームページ(http://chng.it/4jL4cKtVKt)で。

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