「がんゲノム医療」へ新診療科

 がん患者の遺伝子を調べて最適な薬や治療法を選ぶ「がんゲノム医療」に取り組む岡山大病院が1日、臨床遺伝子診療科を新設する。分析したゲノム情報を基にがん治療に結び付ける外来に加え、患者の遺伝子変異の判明に伴って発病リスクが分かった家族らの悩みに応え、予防法を探る遺伝カウンセリング外来を設ける。

 がんゲノム医療は、採取したがん組織や血液から遺伝子解析装置でがんに関係する遺伝子変異を一度に調べ、検査結果を基に患者に合う薬があるかなどを検討する。現状では有効な治療に結び付くケースは1割程度にとどまるが、研究が進めば治療成績は向上していくと期待されている。

 厚生労働省が推進しており、今年2月、「中核拠点病院」(全国11施設)の一つとして岡山大病院が選ばれ、中心となる診療科の開設準備を進めてきた。これまで各診療科が個別に遺伝情報に基づく医療を行ってきたが、各科の医師を臨床遺伝子診療科と兼務にして連携しやすくした。

 診療科長に就く平沢晃教授は「例えば膵臓(すいぞう)がんの患者が遺伝子検査を受けた結果、遺伝性の乳がん、卵巣がんや大腸がんなどに関係する変異も分かる可能性がある。そうなれば診療科をまたいだチーム医療が不可欠となる」と、新たな体制を築く意義を話す。

 遺伝性のがんなどの原因となる遺伝子変異が患者にあれば、本人だけでなく子どもや兄弟姉妹も発症する恐れがある。遺伝カウンセリングでは本人や家族の悩みや不安に寄り添い、手術なども視野に入れた予防法を探る。

 当面は院内の臨時スペースで外来に対応するが、いずれは診察室やカウンセリング室、遺伝情報を厳重管理する部屋を整備。原則、保険が効かないため自費診療となる。

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