在聖総領事館=外務大臣表彰、10個人・団体に=ノロエステから最多の4人=安永氏「感動、感激の連続」

受賞者の皆さん

 「平成30年度外務大臣表彰伝達・祝賀式」が8月24日、在聖総領事公邸で催された。ブラジル日本移民110周年を迎える本年は、同館管内から例年を上回る10の個人・団体に賞状が授与された。今年6月に全面返還されたサントス日本人会の歴史を整理してきた大橋建三氏や、60年振りとなる皇室ご訪問を準備したノロエステからは最多4氏が選出されるなど、州内各地で長年に渡り日伯関係拡大に貢献してきた功労者が栄誉に浴した。

 

 開式の挨拶をした野口泰総領事は「皆様は日伯両国の関係強化に多大な貢献をされ、友好関係拡大に輝かしい功績を残してきた」と賞賛し、今後益々の活躍を祈念した。家族や友人が見守るなか、総領事から賞状を授与され、受賞者一人一人が挨拶し感謝をのべた。

 サントス日本人会会長補佐の大橋氏は「戦後移民だが、日系社会に大変お世話になってきた。日本人会復活のために出来る範囲で協力してきた」と振返った。

 戦中に接収されて軍施設として利用されてきた日本人学校は、今世紀に入ってようやく無償貸与が認められ、08年に再落成。その際、一挙に寄せられた資料を整頓し、強制立退きリストを含む日本人会の歴史を纏めてきた。「サントスは移民の原点。世代が変わっても苦難の歴史を決して忘れずに頑張っていきたい」と語った。

 ノロエステから受賞した日語教師の安永ルイス(留意治)氏は「眞子さまにご臨席を賜り、盛大に開催された式典が心に強く刻み続けている。今日栄誉に浴したことは身に余る光栄です。感動、感激の連続」と喜びを表した。同じく日語教師の楮本エミリア恵美氏も「素晴らしい歴史を作り上げた先祖の願いに応えることが我々の役割。日本の美しい心を幅広く普及させることが、よりよいブラジルを作ることに繋がると信じている」と感謝を滲ませた。

 カフェランジア文化教会会長を勤め、日本人会館や体育館の建設、移民史料館設置に尽力した熊坂ヨシオ氏は、表彰式への出席が叶わず、7月31日に他界した。

 亡き夫の遺影を持って参加した妻・リキさん(83、二世)は「主人は本当に働きものでした。子供達が小さい頃には、深夜まで働いていたので父の顔を覚えていなかったくらい」と懐古し、「眞子さまに謁見するのを楽しみにしていたけど病床で叶わなかった。でも、あの世できっと喜んでいるはず」と目を潤ませた。

 聖南西日伯文化体育連盟会長を務める山村敏明氏は「感無量の喜び。私が関係している組織を代表して受賞する心境だ」と語り、「健康が許す限り日伯両国の懸け橋となり、日系社会の発展繁栄に尽くすことが我らの宿命」と志を新たにした。

 ほか高橋邦雄氏、与儀上原昭雄氏、馬欠場卯一郎氏、サムエル・モレイラ・ダ・シウバ・ジュニオル氏、ブラジル日本商工会議所が表彰された。

 

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 聖南西日伯文化体育連盟(UCES)は今年で70周年の節目を迎える。110周年式典と合わせて、11月4日にピエダーデ文化体育協会で式典が開催される予定。23支部からおよそ500人近くが集まる大規模なものとなるという。地域の結束力を牽引してきた山村会長は「同志の皆さんが何処までもついてきてくれる。それが原動力になっている」と語る。7月の上塚植民地入植百年祭には、聖南西からも20人近くが駆けつけてノロエステを支援し、地域間の結束を強めてきた。山村会長は「地域同士で結束を深め、中央文協と互いに助け合っていける関係を築いていければ」と日系社会の発展に尽くす気概を見せていた。

 1999年からプロミッソンの州立学校内の教室を借りて、ボランティアで日語を教えてきた安永ルイスさん。日語学校には、日本人のような礼儀正しさ、行儀を身につけるため伯人の子供も通っているという。プロミッソン男女青年連盟、日本語学校父母の会、日伯文化体育協会の共同開催による新年拝賀式や天皇誕生日では、必ず代表者に日ポ両語で教育勅語を暗唱してもらい、子供達に大切に語り継いでいるとか。安永さんは入植百年祭を振返り、「伯人が大勢いたがゴミも殆んど落ちておらず、子供も規律正しかった。上塚運動場には日本文化の力が宿っている」と感慨深げ。一世紀をかけて培われてきた日本の心が、日系社会を通じて伯社会に浸透している証拠かも。

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