金属行人(9月3日付)

 2020年と聞いて何が思い浮かぶだろうか。大半の人は東京オリンピック・パラリンピックの開催年だということだろう。ただ、2020年は世界にパラダイムシフトが生じ、歴史に刻まれる年となるかもしれない▼米国の大手配車サービス企業のウーバー・テクノロジーズは〝空飛ぶタクシー〟の実用化に向けて実証実験を開始する。東京でもその実験を行う予定で、その時期は2020年だという▼この「空飛ぶ車」の実用化には日本政府も本腰を入れ始め、このほど官民協議会が初会合を開いた。やはり2020年の実現を目指していくという。世界的に空飛ぶ車の〝先陣争い〟が展開されており、そのキーとなる年が2020年なのだ▼空を飛ぶとなると安全面が最も重要となるだろう。車自体の耐久性はもちろん、どの建造物も空飛ぶ車の衝突を想定して建てられていない。また、下を行き交う歩行者の安全など課題は山積している▼安全性を考えると燃料は極力積まず充電式がよいのだろうか。車のEV化や自動運転は空飛ぶ車実現への布石なのかもしれない。その場合の車体や部品の素材は鉄なのだろうか。小説の中の絵空事だった時代は通り過ぎて実現へのカウントダウンが始まっているのである。そこに商機をつかむ準備はできているだろうか。

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