猛暑続きの今夏 長崎県内の屋外型観光は苦戦

 全国的に猛暑が続き、豪雨や台風に見舞われた今年の夏。県内でも飲料や熱中症対策グッズなどの売れ行きが好調だった一方で、天候不順で野菜価格が高騰した。観光やレジャーでは入場者数が前年割れとなった施設が目立ち、「せっかくの世界遺産登録効果もいまひとつ」との声もこぼれる。
 県観光振興課によると、台風による交通機関の欠航や猛暑の影響で、多くの観光施設が集客に苦戦。長崎市では長崎原爆資料館やグラバー園で7月の来場者数が前年より10%以上減った。グラバー園近くの商店は「西日本の豪雨災害後、客足が減り、なかなか戻らなかった。『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の世界遺産登録効果は期待ほどではなく、少し残念。秋以降に取り返したい」。
 佐世保市の九十九島水族館(海きらら)と九十九島動植物園(森きらら)を運営するさせぼパール・シーの7月の入場者数は、海きららが前年比98%だったのに対し森きららは同74%。屋外型の森きららで暑さの影響が表れた。ハウステンボスも4カ所あるプールのうち、屋内型の「森のプール」の入場者が前年の2倍に。冷房が効いた施設に人が集まる傾向だった。
 商業施設で客足を伸ばしたのは、7月に大規模リニューアルをした長崎市のみらい長崎ココウォーク。涼しい屋内を求める家族連れなどの志向と重なり、夏休み以降は約900台の駐車場が連日満車。担当者は「来店者の年齢層も広くなり、客足は想定以上」と手応えを口にする。
 スーパー各店では水やスポーツ飲料、アイスなどが好調。飲料水は入荷減で購入量を制限する店舗もあり、盆ごろまで品薄が続いたという。家電量販店では暑さが本格化した7月中旬からエアコンが売れ、取り付け工事は最長2週間待ちという店舗もあった。
 全国的に野菜の出荷が減った影響で県内も葉物を中心に価格が高騰。長崎市中央卸売市場では7月後半、葉物の卸売価格が平年よりも5~8割程度高くなった。8月末にはキャベツが平年より25%安、レタスが18%安となったが、トマトやピーマン、ナスは依然高止まり。市内の青果店主は「ここまで高いのは初めて。野菜が高いと果物も買い控えられるので、少しでも安い仕入れ先を探している。早く涼しくなって価格も戻ってほしい」と話した。

(左から時計回りに)飲料水の購入制限を呼び掛けるスーパーの張り紙、日傘などで暑さを避ける観光客、高騰が続いた野菜の売り場のコラージュ

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