金属行人(9月4日付)

 「戦う集団」という言葉は普遍的なメッセージ性を持ち、大勢のリーダーがそれぞれの狙いを込めて唱えてきた。資料作りや会議に追われる、嫌々やらされる仕事が多い、人材力が低下している、組織の方向性がぶれている、ぬるま湯状態にある、といった問題意識がある場合、現状を打破するキーワードとして用いられることが多いようだ。ある企業は英語圏で理念を共有するに当たり、「ワン・フォース・フォー・チェンジ」と訳している▼組織全体が戦う集団でなければ、個人の頑張りや思いで流れを変えるには限界がある。組織の器を変えるような変革期には特にそういうことが起きる。組織にとっては資本提携や業務提携を含めた総合力が実力であり、提携効果の発現は競争力発揮に欠かせない。同時に組織の末端あるいは最前線が存分に戦い実力を発揮する環境を作り、守ることが何より大事になる。その際に指揮官が指し示す極北とは何か。端的に言えば、極北とは組織の大義を果たすことに尽きる▼あるリーダーは「戦う集団」に「社員は喜々として仕事に没頭してほしい」という思いも込めているそうだ。方向性に納得でき、仕事に没頭できるような組織なら、さぞ働きがいがあるに違いない。

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