J・3D、チタン製人工股関節製造で産学官委員会メンバーに選定 指針策定推進、事業化近付く

 F&Cホールディングスグループで、3Dプリンターによる各種受託加工、造形を行うJ・3D(本社・名古屋市港区、社長・高関二三男氏)は、かねてから開発、製造を進めるチタン製人工股関節(寛骨臼)の事業化に向け、産学官での連携を強化した。このほど産総研が立ち上げた、3Dプリント造形による寛骨臼実用化を目指す委員会のメンバーに選定。会議の場を通じて専門家の意見を仰ぎながらガイドラインを策定し、厚生労働省の承認を受けたい考えだ。

 医療業界による要請を受けて、同社は14年にチタン製寛骨臼の研究開発に着手した。昨年5種類の形状が完成、サポイン事業採択による助成金の受給が決まったこともあり、ここのところ加速度的に開発が進む。

 一方、現在3Dプリンターで製作する寛骨臼には製造法、管理手法などに関するガイドラインがない。厚労省の認可を得るためにも工程の基準を明確化、明文化することが急務だった。

 そんな中、産総研が金属積層技術で成形した寛骨臼の実用化を目的に、関節学会や機械メーカーとともに「医療機器開発ガイドライン委員会」を組織。J・3Dが製造側のメンバーとして招へいされたもの。

 同会は会議の中で、J・3Dの開発状況に応じて「粉末再利用時の基準」「強度試験用の鋼片形状」など実効的な議論を行う。年4回開かれる集まりを重ねてガイドラインを取りまとめ来年にも厚労省の認可を得る方針だ。

 高関社長は「より専門的な見地からアドバイスを頂き、大きなサポートとなる。国産チタン製寛骨臼の早期事業化に向け、今後も緊密に連携していきたい」と意気込みを語った。

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