新卒就活生の疑問に答える!売り手市場って何?メカニズムを解説

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就活中や就活を目前に控えている人であれば、就活市場における売り手市場という言葉を聞いたことがあるかもしれません。売り手市場は就活の全体像を理解するにあたり、理解しておくべき言葉なので、わかりやすく紹介していきます。

新卒就活生が知っておきたい!売り手市場とは

売り手市場とは、売り手が優位に立っている市場のことをいいます。就活においては、採用する側の企業が買い手、就職したい側の学生が売り手です。就活で売り手市場という言葉が使われるときは、企業よりも就職をしたい学生が優位に立っている状況だと理解しておきましょう。

売り手市場か買い手市場かを判断するために使われるよく指標が、求人倍率です。求人倍率とは就職希望者数1人あたりの求人数をあらわしたもので、計算式でいうと(求人総数/就職希望者数)となります。たとえば、求人総数が100万人、就職希望者数が50万人とすると求人倍率は2倍になりますね。

求人倍率に関しては厚生労働省が数値を発表していますが、気をつけたいのはこの数値はハローワークに出ている求人とハローワークに登録している求職者をもとに計算されているという点です。就活中の学生でハローワークに登録している人は少ないので、就活について考えるときには、あくまで参考程度の数値だと捉えておきましょう。

学生を対象とした調査はリクルートワークス研究所が行っています。「第35回 ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」によると、2019年卒の大卒求人倍率(民間企業の求人総数/民間企業就職希望者数)は1.88倍。学生1人あたり、1.88社の求人があるということをあらわしています。この大卒求人倍率は2012年卒(1.23倍)を底に、7年連続上昇しています。この推移からも年々売り手市場になっていることがよくわかりますね。

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出典:写真AC

新卒就活生が注意したい!売り手市場に関する誤解

求人倍率が上昇し、売り手市場だといわれても注意しておきたいことがあります。それはあくまで全体の傾向をあらわす数値でしかないということです。業種や企業の規模などによっても求人倍率は大きく異なるということを理解しておきましょう。

先ほど紹介した「第35回 ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」でも細かく調査されているので調査結果を確認しておきましょう。

業種別求人倍率

流通業:12.57倍
建設業:9.55倍
製造業:1.97倍
サービス・情報業:0.45倍
金融業:0.21倍

従業員規模別求人倍率

300人未満:9.91倍
300〜999人:1.43倍
1,000〜4,999人:1.04倍
5,000人以上:0.37倍

また、平成26年度のデータですが、厚生労働省の「求人倍率の高い職業の動向」によると職種ごとで求人倍率に差があることがわかります。
たとえば、専門的・技術的職業は2.39倍、一方で事務的職業は0.57倍となっています。このように業種や従業員規模、職種によって、大きく求人倍率がちがうということはしっかり理解しておきましょう。志望業界、志望職種を決める際のひとつの判断材料にしてもいいですね。

業種や従業員規模、職種が似ていても、企業によって競争倍率が大きくちがうというケースもあります。就職状況を全体的に理解することは大切ですが、企業ごとの分析もしっかり行いましょう。

新卒就活生も納得!なぜ売り手市場が生じるの?

ではなぜ売り手市場が生じるのでしょうか。需要と供給のバランスがポイントとなっているのは実際の市場と同じです。需要(求人数)が増えたり、供給(就活生)が減ったりすると売り手市場へとつながります。需要が増える要因と、供給が減る要因を考えていくことで、売り手市場となっている背景を理解しましょう。

需要(求人数)が増える要因

(1)景気が良くなる

景気が良くなり、各企業の製品やサービスの需要に供給が追いつかなくなると、そのぶん人手も必要になるケースが多いです。

(2)高齢化による一斉退職

高齢化が進んでいる日本では、定年退職者数も年々増えています。退職する人員を補おうとすると求人数が増加します。

供給が減る要因

(1)少子化の進行

少子化が進んでおり、若い人の割合がどんどん減っているので、就活生も減少傾向にあります。

(2)就職を望まない学生の増加

就職をせずに新卒でいきなりフリーランスとして仕事をする学生も増えてきています。今後、勤労観がさらに多様化すると、企業にとって新卒採用がますます厳しくなる可能性があります。

他にも求人倍率は自然災害や戦争などにも影響を受けます。自然災害が起こると建築業界が潤うということもありますが、一方でサービス業界、食品業界などが打撃を受けます。
また、近頃「AI(人工知能)によって人の仕事が減る」という議論が活発になされています。テクノロジーの進化によって新たな仕事が生まれる可能性もありますが、今後労働市場に影響が出るかもしれませんね。

知っておきたい!売り手市場はいつまで続く?

売り手市場がいつまで続くのか気になりませんか?しかし上述のとおり、いろいろな要因が合わさって売り手市場になっているため、正確な予想は難しいといえます。ここでは、今後の大まかな見通しを紹介したいと思います。

売り手市場はしばらく続くと考えられる

売り手市場はしばらく続くと考えられます。大きな要因はやはり少子高齢化が進んでいるということ。「若い社員を自社の戦力になるように少しずつ育てていく」という色の強い日本の企業は、若い人材に対する採用意欲が強く、新卒の門戸は比較的広いのが特徴のひとつです。そんななか少子化によって若い人材の数が減っていくとなると、自然と売り手市場につながりやすくなるわけです。

ただし、突発的なできごとで左右される可能性もある

あまり考えたくないことですが、自然災害や戦争などで労働市場が大きく左右されることもあります。実際、2011年の東日本大震災における復興需要の影響で建築業界は深刻な人手不足に悩んでいます。

業界ごとに分析していくことが大切

このように労働市場全体で考えると売り手市場が続くかどうかの予想はかなり難しいといえるでしょう。全体の状況よりも重視したいのは業界や職種ごとに、今後の見通しを分析していくことです。
例えば、事務的な仕事は今後、AIに仕事を奪われる可能性が指摘されていますが、一方で看護師や介護士、カウンセラーなど人と密に接する仕事はAIには難しいと言われます。AIに限らず様々な観点から業界ごとに今後の労働需要はどう変化していくのか、新しい情報をしっかりキャッチしていくことが大切ではないでしょうか。

売り手市場の仕組みを理解しつつ就活を有利に進めよう!

売り手市場はさまざまな要因で生まれており、今後の動向は読みづらいのが正直なところでしょう。ただし、少子化高齢化は進んでいますし、しばらく売り手市場は続くと考えるのが自然です。さらに全体の傾向に加えて、業界ごとの動向や企業の人気度などの情報も集めるよう心がけましょう。

参考

[1]第35回 ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒) | Recruit - リクルートグループ
[2] https://www.recruit.co.jp/newsroom/2018/0426_18161.html
[3]2018.07.25

著者:沖 圭祐