「私は大統領の娘よ!」叫んだイバンカさん 暴露本明らかに

By 太田清

イバンカ米大統領補佐官(UPI=共同)

 トランプ米大統領の突飛な行動と、それを制御しようとする側近らの内紛を描き、11日の発売前から大きな反響を呼んでいる著名記者ボブ・ウッドワード氏の新刊「恐怖―ホワイトハウスのトランプ」だが、トランプ氏の長女イバンカ大統領補佐官と最側近とされたバノン首席戦略官=当時=との間で激しいやりとりあったことについても触れている。米紙ワシントン・ポスト(電子版)などが報じた。 

 「恐怖」によると、ホワイトハウス内では、イバンカさんは一補佐官にすぎず、大統領への報告事項があれば上司に当たるプリーバス首席補佐官=同=を通じて伝える規則になっていたが、イバンカさんはこれを無視。直接、父親である大統領と話を付けることに業を煮やしたバノン氏が激怒し「あんたはここ(ホワイトハウス)を歩き回って、責任があるように振る舞っているけど違う。あんたは取るに足りない一職員にすぎないんだ」と怒鳴った。 

 これに対し、イバンカさんは「私は一職員なんかじゃない。絶対一職員にはならない。私はファースト・ドーター(大統領の娘)なのよ」と叫び、他の職員と同様のルールに従うことを拒否したという。 

 バノン氏はトランプ氏の大統領選勝利の原動力となり、保守強硬派の最側近だったが昨年8月、事実上解任された。背景にはイバンカさんやその夫であるクシュナー大統領上級顧問との間の反目があったとされる。バノン氏解任後、政権内でクシュナー氏やイバンカさんの発言力が強まり、政治経験のない家族による干渉を問題視する声も上がっていた。  

 「恐怖」はこのほか、トランプ大統領について「まるで小学5~6年生程度の理解力しかない」(マティス国防長官)、「ばかだ。何を説得しようとしても無駄」(ケリー大統領首席補佐官)など、側近がののしる様子にも触れている。 (共同通信=太田清)

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