2019年の去就が未定のライコネン、フェラーリの地元モンツァでベテランの意地【今宮純のF1ドライバー採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第13戦ベルギーGP、第14戦イタリアGPの2戦分だ。

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☆ カルロス・サインツJr.(ルノー)ベルギーGP:11位/イタリアGP:8位

 パワーユニット(PU/エンジン)ハンデを厭わず自己限界を高めてくる予選アタック能力が、レッドブル昇格につながった。コーナリング・スピードがチームメイトであるブレンドン・ハートレーとはかなり違う。モンツァでアロンソ、ダニエル・リカルドと“接触戦”、ダメージを負ったが引かない意志を強くアピール。新人扱いされないために存在を示すことが2019年につながる。

■フェラーリの地元モンツァで大きなミスを犯したセバスチャン・ベッテル

☆☆☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)ベルギーGP:4位/イタリアGP:3位

F1第14戦イタリアGP ルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス

 エース専用にできているメルセデスW09を自分好みのセットアップに、その努力を2年目の2018年シーズンずっと続けている。レース中にはロングスティントを実行、しかしそれが“アシスト役”に見えてしまうのがつらいところ。ハミルトンが勝つたびにハグしてくるが、受けとめる彼の心境は複雑だろう。

☆☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル)ベルギーGP:3位/イタリアGP:5位

マックス・フェルスタッペンとバルテリ・ボッタスのバトル

 スパは5星、モンツァは1星、なのでこうした。レッドブル時代からチームメイトが予選で脚光を浴びると決勝で“過剰反応”、ミスを犯すことがあった。スパではレ・コンブのブレーキング勝負を制して完勝も、モンツァではロッジアでスピンして最後尾に後退、追い上げの4位。あそこは焦らずに3番手通過でも、そこからだっていろいろやりようがあった。

☆☆☆☆ エステバン・オコン(フォース・インディア)ベルギーGP:6位/イタリアGP:6位
 自分のまわりで起きていることにとらわれず、ドライビングに集中したこの連戦。スパ予選3番手は見事だった。レースでのタイヤマネージメントも上達、ペレスに引けをとらない。

■ヒール役のルイス・ハミルトンのおかげでモンツァは満員御礼

☆☆☆☆ セルジオ・ペレス(フォース・インディア)ベルギーGP:5位/イタリアGP:7位

F1第14戦イタリアGP セルジオ・ペレス

 キャリア8年目、チームと一心同体の彼の行動によってフォース・インディアは最大の危機を乗り越えた。結束力は強まり、レースウイークにマイナートラブルなど無く、エンジニアたちも2台を効率よくセットアップ。

 1年前にスパで“同士討ち”寸前の事件(?)があったことなど忘れてしまう。2戦で合計32点獲得でコンストラクターズランキングは7位へ、6位マクラーレン52点を射程距離にとらえる。母国GPとなる第19戦メキシコGPではどこまでランクアップしているか。

☆☆☆☆(+☆0.5) キミ・ライコネン(フェラーリ)ベルギーGP:リタイア/イタリアGP:2位

F1第14戦イタリアGP キミ・ライコネン

 ある『歴代フェラーリ・ドライバー』アンケート調査によると、1位ミハエル・シューマッハー50.1%、2位ライコネン12.4%、3位ジャック・ビルヌーブ10.3%、4位ファン・マヌエル・ファンジオ5.6%、ベッテルは10位1.3%だった。

 在籍2007年から2009年にPP5回/9勝、2014年からはPP1回/0勝・2位7回のライコネン。フェラーリの地元でポールポジションは初めて、淡々とインタビュ―に答えたが19年去就が未定なだけに内心では、フェラーリでの『モンツァ・ラストラン』の思いもあっただろう。

☆☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)ベルギーGP:2位/イタリアGP:1位

 イタリアGP主催者『ACI』は、ハミルトンに感謝してもいいのではないか。ティフォシにとっての“ヒール・悪役”がいるから満員御礼に。「今年こそやっつけてしまえ」、その熱気はすさまじかった。

 その空気を読みいっそう戦意を燃やし3番手から逆転5勝目、劣勢を自覚していたマシンで勝ちとった。ちなみにメルセデスパワーでこの10年に7勝、ティフォシが大歓声を上げたのは8年前に一度だけだ――。

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