【侍U-18代表】「思ったよりも丁寧だった」印象とは違った韓国に敗れ、日本が得た収穫とは

韓国戦に登板した侍ジャパンU-18代表・吉田輝星【写真:荒川祐史】

昨年のワールドカップを戦った藤原は「去年より対抗できる」

 宮崎市内で行われている「第12回 BFA U18アジア選手権」は5日、大会3日目が行われ、2大会連続優勝を目指す侍ジャパンU-18代表は韓国に1-3で惜敗した。先発の吉田輝星(金足農)が初回に3ランを被弾すると、最後まで打線がそのビハインドを跳ね返せず。2勝1敗のグループA2位で7日からのスーパーラウンドに進んだ。

 宿敵に痛い1敗を喫した。初回、四球とエラーで1死一、二塁のピンチを招くと、先発の吉田が韓国の4番キム・デハンに初球のスライダーを左翼スタンドへと運ばれた。先制の3ランだったが、結果的にこれが決勝点となった。日本打線は韓国投手陣の前に1点しか奪えず。先発の左腕キム・キフンの前に5回までわずか2安打。6回に代わったウォン・テインから失策絡みで1点を奪ったが、得点はこれだけ。最後は右サイドハンドで152キロをマークしたソ・ジュンウォンの前に沈黙し、敗れた。

 オープニングラウンドで唯一にして、最大のヤマ場とされた韓国戦。スーパーラウンドにはこの黒星を引き継ぎ、1敗の状態からスタートすることになった。スーパーラウンドでは韓国との対戦はなく、再戦するためには決勝に進むしかない。では、この日敗戦を喫した韓国を、侍ジャパンU-18代表のメンバーはどのように見たのだろうか。

 6回を投げて2安打に抑えながら、一発に泣いた吉田は試合後、こう話した。

「思ったよりも丁寧だった。最初は粘られたんですけど、後半は自分のしっかりとしたピッチングができたので、自分の力も通用していたなと思います」

 韓国のチームカラーとして、フィジカルを活かしたパワーを武器とする野球が思い浮かぶ人も多いだろう。ツボにハマれば破壊力が脅威となるが、日本のようなような緻密さはないというイメージが一般的だ。

 ところが、だ。この日の韓国には、粗さはあまり感じられなかった。特に、吉田も語った初回、2番のユン・スンヨンはフルカウントから3球連続ファールで粘った末に、四球を選んで出塁した。その後、日本守備陣の乱れに乗じてチャンスを広げ、キム・デハンの一発が生まれた。この場面を永田裕治監督も「日本がやらないといけない攻撃を、韓国にやられた」と語っている。

敗戦の中で吉田が掴んだ収穫とは…

 韓国に見えた“丁寧さ”は、打者の根尾昂(大阪桐蔭)も感じていた。「力強いというか、バッター陣もしっかり振ってきますし、ピッチャー陣も結構丁寧に投げてくるので、そういう印象ですね」。先発のキム・キフンは、まさに“丁寧な”タイプの投球を見せた。左腕から繰り出すストレートは140キロ前後だったが、両コーナーを突く制球力で、チェンジアップとの緩急も上手く使っていた。力任せとは真逆の“技”の投球だった。

 イメージと違う韓国に黒星を喫したが、このまま終わるわけにはいかない。吉田は、敗戦の中にも次の対戦に向けた収穫も掴んだようだ。

「インコースに思ったより弱かったので、ツーシームをうまく使って抑えられたのは大きかったと思います。初めて試合でフォークを投げたんですけど、そこでたくさん空振りを取れている。ツーシームとはまた違う球なので、そのフォークをうまく使いたい。あとはカーブを調子が良くなかったのもあるんですけど、使っていなかったので、ストレートとカーブの緩急があれば、ストレートにも振り遅れるようになると思う。次はそこを修正していきたい」

 実戦で初めて解禁したというフォーク、この大会に向けて2種類に増やしたツーシーム、そしてインコース。この3点は、もし再戦が実現したら、鍵を握るポイントになりそうだ。

 昨年9月に行われた「第28回 WBSC U-18ワールドカップ」でも、侍ジャパンU-18代表は韓国に苦杯を嘗めさせられた。スーパーラウンド最終戦で敗れ、決勝への道を絶たれている。その1年前を小園海斗(報徳学園)とともに経験している藤原恭大(大阪桐蔭)は「去年に比べれば、対抗できる」という。

「残り全部勝てば優勝できるので。負けてみんな落ち込んでいるけれど、今日の負けをプラスに捉えてやっていいきたい」と前を向いた藤原。韓国へリベンジするチャンスを掴むためにも、スーパーラウンドでの負けは許されない。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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