金属行人(9月6日付)

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 首都圏の有力薄板販売業、大岩商会の大岩正和会長(前社長)が去る7月1日に77年の生涯を静かに閉じた。一昨日の「お別れの会」には多くの業界関係者が献花に訪れ、在りし日の故人の遺徳をしのび、最期の別れを惜しんだ▼創業者で父の正平氏の口癖は「鉄屋たるものお客様が必要とする鋼材を提供できなければ店の看板を下ろせ」だった。CS(カスタマーサティスファクション=顧客満足度)という言葉がまだ使われていない時分から、その精神を教訓とし、地道に実践を重ねることで顧客の心をつかんだ▼この教えを基盤に「良い物を、確かに。お客様とメーカーの信頼の橋渡しを目指して」との理念をつくった正和氏。何よりも「信頼、縁、絆」を宝物とし、分け隔てなく人とのつながりを大切にしてきた故人の人柄を、知己なら誰もが知る▼故人が、企業経営と同様にライフワークとして心血を注いだ熱気球。会社を留守にすることも多く、この間をしっかりと守ったのが実弟の巖雄専務だ。巖雄氏もまた、創業者イズムをじかに伝授された継承者である▼そしてこのDNAは若き3代目が受け継ぐ。参列者を前に、変化する国内薄板流通業界においても代々変わらぬ「顧客第一志向」と「不易流行」を誓った。