ベルトコンベアシステム、日建リース工業がレンタル開始 破砕機とパッケージ、短距離トンネル工事用

 軽仮設リース業最大手の日建リース工業(本社・東京都千代田区、社長・関山正勝氏)は、短距離トンネル工事向けベルトコンベアシステムである「モール・ストレッチ・コンベヤ(MSC)」のレンタルを開始した。移動式破砕機と連続延伸ベルトコンベヤのパッケージシステム。自社で5台保有し、短期レンタルが可能となった。設備の休転期間短縮や安全性、環境面でメリットがあり、今後、各地のインフラ整備事業で見込まれる中堅ゼネコンのトンネル工事向けなどで拡販に注力する。

 山岳トンネル工事で破砕した土砂を搬送する場合、ショベルローダやダンプトラックを組み合わせた直接搬出方式(ダンプずり出し工法)が一般的。ただ、工事規模によってトンネル内に入れる機械の大きさ制限やダンプの台数増加などの問題もあった。

 MSCは日本コンベヤ、宇部興産機械との共同開発商品。トンネル坑内から出る掘削ズリ(掘り出した廃石)を破砕する移動式破砕機、ズリを坑外に運ぶ連続延伸ベルトコンベヤ(機長1500メートル・ベルト速度150メートル/分・最大搬送量300トン/時間)がパッケージになっている。延伸コンベヤにはベルトラインが調整可能なテールピース台車、破砕機は世界トップシェアのフィンランド・メッツォ社製をそれぞれ採用している。ユニットとパーツの共有化で、休転期間短縮や修理費低減、ダンプ輸送時の坑内事故リスク軽減などが期待できる。

 日建リース工業は短期レンタルに対応するため、MSCを5台保有。すでに鉄道関連で3セットの納入実績がある。来月中旬には、高知県内の短距離トンネル掘削工事現場向けに1セット納入予定。またトンネル工事以外の仮設コンベヤ分野でも、福島除染現場で1セットの納入実績を挙げている。

 トンネル工事向けのほか、さまざまな延伸コンベヤ市場への参入も視野に入れる。今後の需要動向によっては、さらにレンタル機の保有増を検討。同社がこれまで培ったレンタルノウハウと拠点網を活用しながらメーン商材である仮設資材をコンベヤスペックに入れることで、コスト削減や設置解体工数削減に寄与できるよう、坑内外をシステム化した提案を行っていく方針だ。

 MSCについてはYouTubeによる動画配信や説明DVDなどを製作。必要に応じて顧客への配布を行っている。問い合わせは同社トンネル営業推進部(電話=03―3295―9111)まで。

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