東洋精鋼、可搬型の陽電子寿命測定装置を開発 金属の内部欠陥、その場で検出

 東洋精鋼(本社・愛知県弥富市、社長・渡邊吉弘氏)は、陽電子を利用して金属材料などの微細な内部欠陥を検出できる「陽電子寿命測定装置」の可搬型を開発した。持ち運びができるため、橋梁など構造物の余寿命をその場で容易に診断できるのが特徴だ。理化学機器の専門商社、池田理化と連携し「年50台の販売を目指す」(渡邊社長)。

 東洋精鋼は線材を粒状に加工したショットピーニング用投射材の製造・販売が主力事業。自動車や航空機産業向けに展開している。同事業に関連する機器の開発・販売も手掛けている。

 新装置は、産業技術総合研究所と共同開発した。陽電子寿命測定装置の可搬型は世界初という。測定対象や求める精度にもよるが、測定時間は10~20分で済む。橋梁など社会インフラを対象とした老朽箇所の検出や予防保全策を講じた部分の効果の検証に有効な利点をアピールし拡販を目指す。

 陽電子寿命測定装置は、陽電子を材料に照射し、その入射から消滅までのわずかな「寿命」の違いをもとに材料内の原子サイズの微細欠陥まで高精度に検出できる。同社はこれまですでに研究室内で使う据え置き型を開発済み。この技術を応用し検出器の小型化と配置の工夫で実現した。

 東洋精鋼は5日に幕張メッセ(千葉市)で開幕した分析機器・科学機器専門展示会で、池田理化の展示ブースに同装置を出展中。同日には渡邊社長がブースを訪れ、自ら新製品をアピールした。同展は7日まで。

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