天変地異の日常化

 ああ危ない、逃げて逃げて。おとといの夜、台風21号が近畿で暴れるさまを映すテレビに向かって、つい声を発していた。画面の端に「視聴者提供」の動画だと示されている▲トタンのような薄い板がこっちへ、つまり動画を撮影中の人の方へと、びゅんと飛んでくる。看板のガラス板が暴風でガチャンと崩れ落ちる。その瞬間、撮影中の人が短く悲鳴を上げる▲一夜明けてテレビが映していたのは、まだ生々しい台風の爪痕-ではなく、思いもよらず地震の被害の様子だった。北海道で最大震度7の強い揺れがあり、土砂は崩れ、家屋がのまれた。亡くなった人、けが人も出ている▲つい先日、近畿あたりでは台風で200万戸以上が停電したが、今度は地震によって、実に北海道全ての295万戸が停電した。同じような大きな被害が、続けざまに、異なる天災によって生じたことに息をのむ▲西日本豪雨にやられ、酷暑が続き、台風が続発した。さらに地震が襲い、余震への警戒も怠れない。「天変地異の日常化」という不穏な言葉がつい浮かぶ▲ほんの2日前の小欄で、台風21号に触れて「天はいつになったら穏やかさを取り戻す」と書いたが、また繰り返すほかない。あちらこちらの被災地に思いを致しながら、いつ起こるとも知れない天災への備えも忘れまい。(徹)

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