堪忍袋の緒が切れた潜水士、マスク氏への訴訟準備  今度は「小児のレイプ犯」

By 太田清

イーロン・マスク氏

 米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7日までに、タイ北部洞窟での少年らの救出活動に加わった英国人潜水士アンスワース氏(63)について「12歳の少女と結婚するためにタイに行った」と根拠なく批判。これに対し同氏の弁護士は英紙インデペンデントに対し、名誉が毀損されたとしてロンドン、ニューヨークの裁判所に訴えを起こす準備をしていることを明らかにした。さらに、タイでも同様の訴えを起こすことを検討しているが、タイで有罪が確定すれば罰金と謝罪広告掲載の義務のほか、収監の可能性もあるという。 

 マスク氏はアンスワース氏について、ツイッターで根拠なく「小児性愛者」と罵倒。テスラの株主らの批判を受け謝罪したが、その後、米ニュースサイト、バズフィードの記者へのメールで「小児のレイプ犯を擁護するのはやめろ。彼(アンスワース氏)は英国出身の年配で独身、白人の男で、ここ30~40年間タイへの旅行や滞在を繰り返していて、12歳ぐらいの少女と結婚するために北部チェンライに行った」と根拠なく断言した。メールでは企業のCEOが通常使わないののしり言葉も繰り返し使われた。同紙によると、チェンライは買春行為が盛んな地域として知られるという。 

 これに対し、アンスワース氏の弁護士は「全くの事実無根」とした上で、同氏が訴訟を準備していることを明らかにした。アンスワース氏にはガールフレンドがいて、現在チェンライ郊外でともに暮らしているという。マスク氏の発言については、タイ政府の報道官も、タイが買春行為が盛んである国との印象を招きかねないとして懸念を表した。 

 アンスワース氏は少年らが逃げ込んだ洞窟内の場所を正確に言い当てたほか、少年らを発見した英国人潜水士をタイ当局に紹介するなど、捜索活動に多大な貢献をしたことで知られる。 

 マスク氏は少年らの救助活動のため提案した潜水装置について、アンスワース氏が「絶対役に立たない。宣伝行為だ」と一蹴したことに反発、同氏について「小児性愛者の男」とツイッターに書き込み、その後、反発を受け削除した。 (共同通信=太田清)

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