貴重なチョウ 守ろう 「ツシマウラボシシジミ」 対馬の絶滅危惧種 長崎バイオパークで交配作業を実施中

 長崎県対馬市だけに生息する絶滅危惧種のチョウ「ツシマウラボシシジミ」の繁殖に取り組む長崎バイオパーク(長崎県西海市西彼町)は、園内のフラワードームでチョウの交配作業を実施している。交配は9日まで行い、近くで見学できる。

 ツシマウラボシシジミは羽を広げた状態で約2センチの小さなチョウで、羽の裏にある黒い円紋が特徴。かつて対馬北部に広く分布していたが、幼虫の餌になる草をシカが食べているため激減している。環境省は絶滅危惧種のうち最も危険度が高いランク「ⅠA類」に分類している。

 バイオパークは環境省の依頼で2015年から飼育を開始。交配は年3回実施し、前回7月の作業では55匹がさなぎになった。バイオパークのほかに足立区生物園(東京)、箕面公園昆虫館(大阪)が生息域外繁殖に取り組んでいる。

 交配作業は5日から始め、伊藤雅男副園長ら5人のスタッフが担当。成虫に育てたオスとメス約10匹をドーム内に放ち、メスを小枝に止まらせてオスを誘い、交配を試みた。5日は失敗したが、6日は2組が交配した。

ツシマウラボシシジミのメス(左)との交尾を試みるオス=西海市、長崎バイオパーク
小枝にメスを止まらせ、オスが近づくのを待つ伊藤副園長

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