カンペローナ頂上ゴールのブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第13ステージはスペインのロドリゲスがサプライズ優勝

(©Bettiniphoto)

__スペインで開催中の第73回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、9月7日にアストゥリアス州のカンダス(カレーニョ)からバリェ・デ・サベロのラ・カンペローナ頂上までの174\.8kmで第13ステージを競い、主催者招待で初参加したUCIプロコンチネンタルチームのエウスカディバスクカントリー・ムリアスに所属するオスカル・ロドリゲスが独走で逃げ切り、サプライズなグランツール区間初優勝を果たした。

マイヨ・ロホを着た地元スペインのヘスス・エラダ(コフィディス)は、カンペローナの上りでメイングループから遅れ、総合を争う有力選手たちより2分近く遅れたが、それでも総合首位の座は守ることができた。 __

第13ステージは170選手が出走。スタートからアタックが続き、この日最初のカテゴリー3の峠が始まった15km地点で32人の大きな逃げ集団が形成された。ここに区間優勝したロドリゲスも加わっていた。マイヨ・ロホのエラダもこの逃げに加わろうとしたが、すぐ集団に戻った。

21km地点のカテゴリー3の山頂はトマス・デヘント(ロット・スーダル)が先頭で通過し、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)、ベンジャミン・キング(チームディメンションデータ)が続いた。山岳賞ジャージを着たルイスアンヘル・マテ(コフィディス)もこの日は逃げに加わっていたが、ここではポイントを稼げなかった。

32人の逃げ集団で、総合成績が最も上位だったのはキングで、7分04秒遅れの総合22位だった。75km地点でタイム差は9分半にまで開き、モビスターとチームロットNL・ユンボが集団を引き出し、タイム差は縮まりだした。

105km地点にあったカテゴリー1のタルナ峠もデヘントが先頭で通過し、キングが2位になった。マテはここを3位で通過し、4ポイント獲得することができた。しかし、山岳賞総合で2位のキングとは16ポイント差になった。ここでメイン集団は6分差になっていた。

ゴールまで残り8kmになり、最後のカンペローナの上り坂が始まった時、28人に減った先頭の逃げ集団とモビスターチームが引くメイン集団のタイム差は3分46秒だった。先頭集団はカンペローナで次第に小さくなっていた。

残り2kmで15%の勾配の区間が始まり、先頭集団ではラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)がアタックし、メルハウィ・クドゥス(チームディメンションデータ)が付いていこうと試みたが、すぐに遅れてしまった。しかし、ディラン・トゥーンス(BMCレーシンクチーム)は追いつくことができ、20%近い傾斜の難所を2人で越えた。

区間優勝はこの2人の争いになるだろうと思われていた矢先、残り1kmのフラム・ルージュを通過する手前で、ロドリゲスが先頭の2人に追いついた。彼はそのままトゥーンスとマイカを置き去りにして単独で先頭に立ち、グランツールの区間優勝という大金星を手に入れてしまった。

メイン集団では、残り2kmでナイロ・キンタナ(モビスターチーム)がアタックし、サイモン・イエーツ(ミッチェルトン・スコット)が反応したが、ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)はこの重要な瞬間に機材故障に見舞われて遅れてしまった。しかし、奇跡的にもタイムを大きく失わずに済んだ。

スペインではエウスカルテル・エウスカディが2013年でプロレベルの活動を終えて以来、バスク地方のプロチームはなかったのだが、UCIコンチネンタルチームのエウスカディバスクカントリー・ムリアスが、今季UCIプロコンチネンタルチームに昇格し、ブエルタの招待状を受け取ることができた。23歳のロドリゲスは、昨年エウスカディバスクカントリー・ムリアスでプロデビューした選手で、もちろんグランツールは初出場だった。

■グランツール区間優勝の大金星を上げたロドリゲスのコメント
「この区間のことは念頭にあったが、チェックしていたようなものではなかった。バルベルデのような選手を打ち負かすには、逃げに入る必要がある。でも、マイカが最後の上りでアタックした時、ボクは山頂まで彼について行けないと思った。それで逃してしまった。

でもその後、ボクは近づいた。彼らに追いついた時、ボクは彼らの顔が苦痛に満ちているのを見た。ボクはちょっときつく走って、抜け出すことができたんだ。ボクはペースの変化が苦手なタイプの選手だから、自分のリズムだとよりよく上れると思った。ゴールで呼吸は良好だった。同時にボクを信じてくれた人々やチームに対して、大きな喜びを感じていた。多くの人々が、これに値するよ。

新しいエウスカルテル・エウスカディが誕生した。それは参加するすべてのレースで戦えるファーストクラスのチームだ。今日はとてもたくさんのバスクのファンを見たよ」

マイヨ・ロホを守ったエラダ (©Bettiniphoto)

■第13ステージ結果[9月7日/カンダス(カレーニョ)〜ラ・カンペローナ(バリェ・デ・サベロ)/174.8km]
1. OSCAR RODRIGUEZ (EUSKADI BASQUE COUNTRY - MURIAS / ESP) 04H 17' 05''
2. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) + 19''
3. DYLAN TEUNS (BMC RACING TEAM / BEL) + 30''
4. BJORG LAMBRECHT (LOTTO SOUDAL / BEL) + 38''
5. LAURENS DE PLUS (QUICK - STEP FLOORS / BEL) + 43''
6. MERHAWI KUDUS (TEAM DIMENSION DATA / ERI) + 01' 00''
7. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) + 01' 12''
8. PIETER SERRY (QUICK - STEP FLOORS / BEL) + 01' 21''
9. EDWARD RAVASI (UAE TEAM EMIRATES / ITA) + 01' 25''
10. BENJAMIN KING (TEAM DIMENSION DATA / USA) + 01' 27''

21. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) + 02' 32''
22. SIMON YATES (MITCHELTON - SCOTT / GBR) + 02' 38''
23. ENRIC MAS (QUICK - STEP FLOORS / ESP) + 02' 41''
24. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) + 02' 49''
25. THIBAUT PINOT (GROUPAMA - FDJ / FRA) + 02' 49''
26. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 02' 52''
27. WILCO KELDERMAN (TEAM SUNWEB / NED) + 02' 57''
29. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) + 02' 57''
30. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) + 02' 57''
31. TONY GALLOPIN (AG2R LA MONDIALE / FRA) + 03' 12''
33. JON IZAGUIRRE (BAHRAIN - MERIDA / ESP) + 03' 14''
34. EMANUEL BUCHMANN (BORA - HANSGROHE / GER) + 03' 19''
44. JESUS HERRADA (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / ESP) + 04' 18''

■第13ステージまでの総合成績
1. JESUS HERRADA (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / ESP) 54H 50' 19''
2. SIMON YATES (MITCHELTON - SCOTT / GBR) + 01’ 42''
3. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) + 01’ 50’’
4. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) + 01’ 54’’
5. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 02’ 23’’
6. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) + 02’ 33’’
7. JON IZAGUIRRE (BAHRAIN - MERIDA / ESP) + 02’ 35’’
8. TONY GALLOPIN (AG2R LA MONDIALE / FRA) + 02’ 40’’
9. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) + 02’ 44’’
10. EMANUEL BUCHMANN (BORA - HANSGROHE / GER) + 02’ 47’’

[各賞]
■ポイント賞:ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP)
■山岳賞:LUIS ANGEL MATE (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / ESP)
■コンビネーション賞:ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP)
※第12ステージは BENJAMIN KING (TEAM DIMENSION DATA / USA) が着用
■チーム成績:BAHRAIN - MERIDA (BAH)
■敢闘賞: GORKA IZAGUIRRE (BAHRAIN - MERIDA / ESP)

第14ステージはレス・プラエレス頂上ゴール

MAP : Unipublic

アストゥリアスとレオンが舞台の頂上ゴール3連戦の2日目となる9月8日は、システィエルナからナバのレス・プラエレス頂上までの171kmで第14ステージが行われる。コースにはカテゴリーの付いた峠が4カ所あり、ゴールのレス・プラエレス山は標高750メートルだがカテゴリー1だ。上りの全長は4kmで、平均勾配は12.5%。中盤に17%の難所がある。

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