「心の病」労災申請81件 中国地方17年度、10年前から倍増

©株式会社中国新聞社

 うつ病など過労による精神疾患を理由とした労災申請件数は2017年度、中国地方5県で計81件に上ったことが厚生労働省のまとめで分かった。10年前の2倍で、近年、年80件前後で高止まりしている。労働問題の専門家は「ハラスメント防止や長時間労働対策が急務だ」と指摘する。

 17年度の5県別内訳は、広島45件▽山口5件▽岡山20件▽島根5件▽鳥取6件。07年度41件だった5県の申請件数は急増。13年度に89件となり、その後、年80件前後で推移している。

 労災認定件数も増加している。07年度8件だったが、ここ数年、年20件台が続く。17年度の認定件数は28件で07年度以降、最多だった。

 全国の申請、認定の状況も同様の傾向だ。17年度の申請件数は1732件。07年度(952件)の1・8倍で、統計を取り始めた1983年度以降、最も多かった。17年度の認定件数も506件と、07年度(268件)の1・9倍だった。

 一方、過労による脳・心臓疾患での労災申請は減少傾向にある。5県では17年度35件と07年度(52件)から約3割減。全国では17年度840件で、07年度(931件)から約1割減った。

 精神疾患による労災申請が増えている一因に、職場の人間関係の悪化があるとされる。広島労働局に16年度、寄せられた労使間トラブルの相談7592件のうち、「いじめ・嫌がらせ」が1826件(24・1%)と最多。「自己都合退職」934件(12・3%)や「解雇」678件(8・9%)を上回り、5年連続で最も多い。

 精神疾患による労災申請の増加について、広島弁護士会の有志でつくる広島過労死問題研究会の佐藤真奈美弁護士は「非正規労働者の増加で職場に過度の待遇格差が広がり、ハラスメントが生まれやすくなっている。長時間労働のストレスも根強い」と指摘。「パワハラ、セクハラを職場から追放する労使の行動と、労働時間の厳格な把握に基づく残業時間の上限規制の強化が重要だ」と訴えている。