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教職員「わいせつ」深刻 悩む県内教育界 背景にSNS、心の病…

©株式会社熊本日日新聞社

わいせつ事案2件を含む4件の懲戒処分を公表し、陳謝する県教委の幹部ら=8月7日、県庁

 県内の教育現場が相次ぐ教員の不祥事に揺れている。2018年度の教職員の懲戒処分は8月までの5カ月間で既に8件。中でも、逮捕者も出ている教え子と同年代の子どもたちへの「わいせつ事案」は深刻で、「教育不信」につながりかねない。識者からは、踏み込んだ対応策を急ぎ求める声も上がる。

 「わいせつ行為は心の病だと指摘する専門家もいて正直、難しい」。先月16日、不祥事多発を受けた記者会見で宮尾千加子・県教育長は、対応策を問う記者の質問に苦しげな表情で答えた。

 18年度の県教委の処分は8月まで6件。うち3件が、女子高校生へのみだらな行為や女子生徒の体をさわるなどのわいせつ事案だ。県教委の担当者も「(教え子と同年代という)親密さが、なぜ違う感情に代わってしまうのかを、究明していかなければ」とうなだれる。

 宮尾県教育長の会見からわずか5日後、熊本市の中学の男性教員が、女子高校生とみだらな行為をした疑いで逮捕された。この教員は周囲の評価も高かったという。熊本市教委は「他人に見えない嗜癖[しへき]という部分に、どう切り込んで対応すればいいのか」と動揺を隠せない。同市では5月、女子中学生と交際していた20代男性教員を「不適切な行為」として停職処分にした事案もあり、悩みは県教委と同じだ。

 臨床心理士でスクールカウンセラーの河田将一・九州ルーテル学院大教授は、こうした事案の多くに絡む会員制交流サイト(SNS)が鍵とみる。多くの教え子が利用するSNSは、教員に「子どもの日常や心情を理解できる」との「錯覚」を起こさせがちで、熱心な教員ほどハマる側面もあるという。

 また、膨大な事務や部活動、保護者対応などストレスも多い教員が「認めてもらいたい」という承認欲求を性的なものに向けた場合

、未成年者との気軽な接触機会を増やすSNSがあることで、「重大な結果を引き起こす」と河田教授。未然に防ぐためには教員のメンタルヘルス対策が重要で、「窓口を設けて待つのではなく、定期的に専門家との面談を受けさせるべきだ」と強調する。

 同じく臨床心理学が専門の藤中隆久・熊本大教育学部教授も、専門家による心理的な対策を提案する。「自分を見つめて『危ない』と思った教師には、自己申告で心理療法を受けてもらう。一定の効果はあるはずだ」

 さらに「大学4年と大学院2年など、教員免許を医師のように6年学ばないと取れないようにしてはどうか」と提案。専門性と同時に給料など待遇面も上げて社会的に尊重される環境を整えれば、教師が自ら律する意識に訴えられるかもしれないという。

 一方、学校現場の引き締めだけでは「教師が萎縮しかねない」と、苫野一徳・熊本大教育学部准教授(教育学)はくぎを刺す。「教師は信頼されることで力を発揮できる。わいせつ事案は言語道断だが、社会が教師全体を不信の目で見るような事態には陥らせてはならない」(社会部・太路秀紀、平井智子、臼杵大介)

(2018年9月9日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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