中学ジャージー2割安に 神奈川・海老名、13社コンペ効果

 神奈川県海老名市立海老名中学校(同市国分南3丁目)は今夏、指定ジャージーの変更に伴うコンペ(企画競争)を実施した。保護者負担の軽減を目的にした県内公立中学校では珍しい試み。予想を大幅に上回る13社が参加し、「現行のジャージーより2割安く、伸縮性など質の良いものが選定できた」という。市教育委員会は「競争原理が働いた」として評価、他の市立中にもコンペの実施を呼び掛けていく考えだ。

 同市では、昨年度から市教委が主導して保護者が負担する制服やジャージー、上履き、副教材、修学旅行など各経費の見直しを検討してきた。今回のコンペも具体策の一環で、同校をモデルに行われた。

 コンペの試行に向けて同校は6月、選定委員会を設置して7月10日~8月10日に業者を公募。大手を含めて全国から13社が参加して8月21、23の両日にコンペが開催された。審査の結果、36点の中から、都内の大手制服メーカーが提案した製品を2019年度より採用することを9月1日に決めた。

 今回対象としたのはジャージー上下とハーフパンツ。胸に「EBINA」の文字がプリントされたデザインは同じだが、学年別のカラーラインはやめてネーム刺しゅうを学年別に色分けした。

 焦点の価格については、現行のジャージー上下(税込み9396円)、ハーフパンツ(同2268円)よりも合計額で約2600円低く抑えられたという。

 コンペに際しては学校側に過度な負担にならないよう、市教委就学支援課が業者募集などの業務を担って支援。市教委主導によるこうした保護者負担軽減を目的とした取り組みは県内でも珍しい。

 市教委によると、指定ジャージーに関しては市内の全6中学校で同一業者が扱っており、「参入業者が増えれば、価格低下が見込まれる」としてコンペを検討した。市立中で初めて行われたコンペが狙いを上回る成果を上げたことから、他校にも選定委の設置を呼び掛ける方針を固めた。

 海老名中学校の飛矢崎義基校長は「選定作業にはPTA役員も入ってもらった。学年別カラーラインの廃止は(兄弟姉妹などの)リユースに配慮した。コンペは多くても5社程度の参加を想定していたので13社は驚いた。1社から素材などが異なる2、3点の提案があり、その分審査は大変だった。安くて着やすい新ジャージーが採用でき、生徒・保護者も喜んでくれると思う」と話している。

コンペで選定した海老名中学校の新ジャージー(海老名市教育委員会提供)

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