緊急リポート 北海道胆振東部地震・下

厚真、想像超える惨状

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朝日地区での救助を終えて、引き揚げる警察官(6日)

 6日午前5時半すぎ、信号機が作動しない中で、震度7を観測した東胆振方面へ向かった。苫小牧に入ると早朝にもかかわらず、目の前に車の列が飛び込んできた。数百メートルの列はガソリンスタンドへ続いた。

 安平町の早来地区に入ると、国道234号には作業車が停車し、作業員が地震の影響とみられる道路の亀裂を修復していた。店を開けていた途中のコンビニエンスストアは停電にもかかわらず車があふれ、店内は客でいっぱいだ。震度6強の中心部の市街地は一部の家屋や店舗が倒壊。住民は「怖かった。こんなに突き上げるような揺れは経験したことがない」と声を振るわせた。

 午前7時すぎに厚真町の市街地に到着。店舗や自宅前で、壊れた家財道具やガラスの破片を片付ける住民を見た。上空には慌ただしく飛ぶヘリが目に映った。

 朝日地区の山間部に近づくと、報道車両が増えてきた。当初、大規模な土砂崩れ現場で近づけるのはここだけだった。80代の老夫婦が生き埋めになっている。家族が見守る中、道警や地元消防が大破した家屋を取り囲み、重機で周辺の土砂を取り除きながら慎重に救助作業を進めていた。

 午前9時すぎになると、現場に通じる町道は応援の重機が次々に到着、現場には待機する数百メートルの車列ができた。自衛隊車両の数も増え、隊員がスコップを持ち、列をつくって山間部へ入っていった。

 大破した家屋周辺に緊張感が漂う中、午前10時35分、男性が見つかった。午前11時45分には女性発見の一報も。午後1時前、地震発生から10時間たって心肺停止状態の女性が救急車で運ばれていった。

 午後、厚真町役場に着くと2000年(平成12年)の有珠山噴火を思い出した。断水、停電の過酷な環境の中で迷彩服、作業服の消防隊員や警察官が慌ただしく動き回り、周辺は救助に使う特殊車両やテレビの中継車で囲まれた。「水が欲しい」とつぶやく自衛隊員。近くの住宅兼事務所に入ると、内部は棚が倒れてぐちゃぐちゃ、空き家と思うくらいの惨状だ。周辺は給水を受ける町民や炊き出しのボランティアで埋まった。住民は「停電と断水は苦しい。ガソリンも食料も心配だ。安否不明者の数を聞いてショックだった」と肩を落とした。

 掲示板には地区ごとの安否不明者が記されていた。「生きうめ」の文字も飛び込んでくる。あまりにも多い安否不明者、死者の数を見て、一気に気持ちが沈んだ。
(高橋昭博)

(2018年9月9日掲載)