医療的ケア児の通学支援 看護師の重要性を指摘 熊大病院・野村医師が講演 長崎

 人工呼吸器の装着やたんの吸引など医療的なケアが日常的に必要な子ども(医療的ケア児)の通学支援について、熊本大医学部付属病院小児科の野村恵子医師が8日、長崎市興善町の市立図書館で講演し、学校で働く看護師の役割の重要性を指摘した。

 長崎大学病院小児科と市立図書館の共催企画。福祉や行政関係者、医療的ケア児の保護者、大学生ら約110人が参加した。

 野村医師は、在宅で人工呼吸器を装着している子どもの母親がケアで忙しく、まとまった睡眠が取れずにうつ症状を示すことも少なくないと説明。子どもが障害を理由に通学できなかったり、学校所属の看護師がいても保護者の同伴を求められたりしている現状を紹介し、「人工呼吸器の管理と障害のある子どもの発達の両方を理解できる看護師が必要だが、人材が不足している」と指摘した。

 熊本県では保護者の負担を軽減しようと、代わりに訪問看護師が学校で子どもに付き添う事業に取り組んでおり、千葉県では学校所属の看護師と教員が協力してケアを実施しているという。野村医師は「国は医療的ケア児の学校への受け入れに積極的だが、現実は地域ごとに手探りで安全を第一に対応を検討している」と話した。

医療的ケア児の通学支援について考えた講演会=長崎市立図書館

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