就活ルール廃止案に学生不安の声

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600人を超える福井県内学生らが来場したマイナビ就職セミナー=2018年3月1日、サンドーム福井

 経団連の中西宏明会長が就職活動の指針を2021年に卒業する学生から廃止する考えを示したことについて、福井県内でも戸惑いが広がっている。企業は、廃止されれば採用の自由度が上がり大手が有利になると警戒。学生も「ルールがなくなると、どのように準備を進めればいいのか」と不安を感じている。一方で「企業をアピールするきっかけにしたい」と前向きに捉える声も聞かれた。

 「ただでさえ採用は学生優位の売り手市場で厳しく、大手に傾いている。就活ルールが廃止されると、中小・小規模企業は新卒採用をあきらめなければならない事態に陥る」と話すのは、福井市内の製造業の担当者。「若い力がないと会社は成長できないし、地方経済の衰退にもつながりかねない」と懸念する。

 福井銀行(福井市)の担当者は「企業、学生にとってルールは一定の目安になっている。廃止されると採用の前倒しが際限なく進み、例えば1年生でも優秀な学生に内定を出す企業も出る。大きな混乱を招くのでは」と指摘する。福井市内のサービス業の担当者は、優秀な人材を確保するためには通年採用も検討するとし「採用コストも増える。中小企業の採用担当者はほかにも多くの業務を抱えており、一層忙しくなる」と顔を曇らせた。

 県内の商社の採用担当者は「ある程度のルールがないと、どのタイミングで面接したり内定を出したりするかの判断が難しい」と胸の内を明かす。「全国の同業大手や県内大手の動向を見ながら、やり方を考えることになるのではないか」と見通した。

 ルールが廃止されれば、2020年に就活を行う現在の大学2年生から対象になる。福井大工学部2年の学生(20)は「日程が決まっていた方が準備しやすい。廃止されると、先輩からの『この時期には何をした』というアドバイスが参考にならない」と戸惑う。さらに、廃止なら採用が早期化するといわれていることに「実験で忙しい3年生のときに就活が本格化すると大変。就職するか大学院に進学するか迷っている学生が、就活に出遅れてしまうこともありそう」と不安を語る。

 福井高専5年の学生(19)は専攻科への進学が決まっており、就活に関しては今の大学2年生と同じ立場だ。日程の縛りがなくなると「希望する会社の説明会がいつの間にか終わっていたということもあり得る。情報収集がより重要になるだろう」と予想した。

 福井大学の大橋祐之キャリア支援室長は現在の指針について「形骸化も指摘されているが、3月に会社説明会、6月に面接が解禁などと明記することで、緩やかなルールとして就活スケジュールの目安になっている。学生も大学も、この日程から逆算して準備をしている」と意義を指摘する。

 「このところ数年ごとに就活ルールが見直され、そのたびに混乱した。撤廃されれば究極の見直しであり、初めの数年はかなり混乱するだろう。その結果、一番しわ寄せがいくのは学生だ」と懸念する。「支援するわれわれも、学生へのガイダンスや合同企業説明会をいつ開けばいいのか、最初は分からないだろう」と困惑気味だ。