「人手不足」関連倒産~ 8月は調査開始以来で最多45件、うち「求人難」型が13件発生 ~

 企業倒産が低水準な推移の一方で、中小企業を中心に人手不足が深刻度を増している。「人手不足」関連倒産は、「後継者難」型が中心で現状は推移しているが人手不足感が解消されない中で、「求人難」型の今後の動向が注目される。

8月は調査開始以来で最多の45件

 2018年8月の「人手不足」関連倒産は、45件(前年同月比125.0%増、前年同月20件)で、7月(42件)を上回り、2013年1月の調査開始以来で最多になった。内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が26件(前年同月17件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が13件(同ゼロ)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が3件(同1件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が3件(同2件)。

人手不足関連倒産月次推移

8月の産業別、サービス業他が最多

 8月の産業別では、最多がサービス業他の13件(前年同月3件)。次いで、建設業12件(同9件)、製造業9件(同2件)、卸売業4件(同2件)、小売業2件(同2件)、運輸業2件(同ゼロ)、情報通信業2件(同ゼロ)、不動産業1件(同1件)と続く。

8月の地区別、9地区のうち、8地区で倒産が発生

 8月の地区別では、全国9地区のうち、北陸を除く8地区で倒産が発生した。内訳は関東14件(前年同月9件)を筆頭にして、九州8件(同4件)、中部7件(同ゼロ)、東北6件(同2件)、近畿4件(同1件)、北海道3件(同2件)、中国2件(同2件)、四国1件(同ゼロ)の順。

8月の都道府県別、最多は東京6件

  8月の都道府県別では、東京6件(前年同月2件)、福岡5件、北海道・埼玉・神奈川・愛知が各3件の順だった。

2018年1-8月の要因別、「求人難」型が6割増

 2018年1-8月の「人手不足」関連倒産は272件(前年同期比30.7%増、前年同期208件)で、前年同期より3割増で推移している。
 内訳をみると、「後継者難」型が204件(前年同期比25.1%増、前年同期163件)、「求人難」型が37件(同60.8%増、同23件)、「人件費高騰」型が17件(同54.5%増、同11件)、「従業員 退職」型が14件(同27.2%増、同11件)になった。「後継者難」型が7割(構成比75.0%)を占めた一方で、「求人難」型の増加が目立った。

2018年1-8月、サービス業他が最多73件

 2018年1-8月の産業別では、最多がサービス業他の73件(前年同期比35.1%増、前年同期54件)。次いで、建設業56件(同16.6%増、同48件)、製造業45件(同66.6%増、同27件)、卸売業44件(同76.0%増、同25件)、小売業20件(同5.2%増、同19件)の順。
 2018年1-8月の地区別では、全国9地区のうち関東(89→116件)、中部(22→34件)、九州(26→31件)、東北(11→21件)、中国(14→17件)、四国(5→12件)、北陸(1→3件)の7地区で前年同期を上回った。一方、減少は近畿(25→24件)と北海道(15→14件)の2地区。

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