輝かしい経歴も…明大で「悔しい」指名漏れ、JR東海からプロ入り目指す23歳

JR東海・竹村春樹【写真:篠崎有理枝】

甲子園4度出場&選抜制覇、高校と大学で日本代表に選出された竹村春樹

 昨年、明治大学からは2人がプロ志望届を提出。ドラフトでは齊藤大将投手が西武から1位指名を受けたが、竹村春樹内野手は指名漏れを経験した。齊藤は7月29日の対ロッテ戦でプロ初勝利を挙げるなど、1年目から中継ぎとして奮闘。一方の竹村も、社会人野球のJR東海に進み、この夏、都市対抗野球大会を経験した。

 竹村は埼玉・浦和学院高で2年春、夏、3年春、夏の4度甲子園出場。3年春の選抜では全国制覇を成し遂げた。3年夏には松井裕樹投手(現楽天)らとともにU-18日本代表に選出され、U-18W杯準優勝を経験。明大進学後も1年からリーグ戦に出場、4年時には高校時代に続き大学日本代表にも選ばれ、主将としてチームを牽引。ユニバーシアード競技大会2連覇を達成した。

 そんな輝かしい経歴を持つが、大学時代は思うようなバッティングができなかった。2年秋には3割をマークしたが、その後は低迷。「結果を求めすぎて自分のスイングができていませんでした」と、竹村は不振の原因を振り返る。大学の監督からもプロ入りはギリギリのラインだと言われており、指名漏れは覚悟していたという。それでも、齊藤が西武から1位指名を受け胴上げされているのを見て「悔しかった」とドラフト当日の心境を明かす。

「自分に気を遣い、控えめに胴上げしてくれているのがわかりました。複雑な心境でした。秋のリーグ戦も終わっていたので、だいぶ落ち込みました。でも、大学や高校の先輩たちから『引きずっていても仕方ない』とたくさん連絡をもらい、それからは気持ちを整理して、2年後のプロ入りに向け切り替えました」

JR東海・竹村春樹【写真:本人提供】

来年は都市対抗で試合出場へ「まずはJR東海でレギュラーを取る」

 卒業後は社会人野球の名門、JR東海に入社。新たなスタートを切ったが、技術面では足りないことだらけだという。

「守備はある程度できると思っていたのに、チームに合流したら全然だめでした。スピードと正確さが足りない。実力不足を感じました」

 2016年にドラフト1位指名を受け阪神に入団し、セ・リーグ新人王を獲得した高山俊外野手とは、明大でともにプレーした。打撃不振により2軍調整が続く先輩の姿に、プロの厳しさを痛感しているという。

「大学時代、高山さんと一緒にプレーして『やばいな』と思うくらい上手かったのに、今苦労している。『すごい世界なんだな』と思います。この辺でくすぶっていたらプロなんて言っていられない。これからは打撃、守備ともにまだまだ磨いていかないといけないと思います」

 今大会はけがの影響で試合に出場することは叶わなかった。それでも、ベンチで大舞台を経験し、来年は東京ドームのグラウンドに立つことを誓う。

「グラウンドとスタンドが一体となっていて驚きました。一つ一つのプレーの大切さ、1球に対する重みを感じています。今はあの観衆の中で活躍したいという気持ちしかありません。まずはJR東海でレギュラーを取ることを目標にしています」

 悔し涙を流したドラフトを乗り越え、社会人野球の舞台で挑戦を続ける23歳は、今後どのような成長を遂げるのか。その未来が楽しみだ。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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