車いす利用者、鎌倉で待望の水遊び 台風で中止も企画実現

 体の不自由な人がマリンスポーツや水遊びを楽しむイベントが9日、神奈川県鎌倉市の市営プール「鎌倉海浜公園水泳プール」で開かれた。例年、同じ趣旨の人気イベントを市内の材木座海水浴場で開いていたが、台風の影響で中止に。会場を海からプールに変え、急きょ企画された。 

 好天に恵まれた9日。県内に住む3~63歳の車いす利用者ら10人がプールサイドに集まった。浮きを付けた車いすに乗り換えて入水したり、障害者サーフィンの世界選手権で優勝経験を持つ内田一音(かずね)さんらに支えられながらサーフボードに乗ったりし、一足遅い夏を満喫した。

 本来は7月29日に1日限定で、「バリアフリービーチ」が材木座海水浴場で開かれる予定だった。波打ち際までベニヤ板を敷き、他の海水浴客と一緒に、浮きが付いた車いすや手作りのいかだで遊ぶ内容で、例年定員を超える応募がある人気イベントだ。

 だが台風12号の影響で、中止に。「楽しみにしていた障害者のために、何かしたい」。バリアフリービーチを主催するメンバーが代替案を考えていたところ、市営プールに空きができたことを内田さんから聞き、市に掛け合い、“バリアフリープール”が実現した。

 脳性まひの長男礼旺(れお)さん(16)ら家族3人で参加した横山圭子さん(48)は「息子がサーフボードに乗ったのは初めて。経験を広げる機会をもらえてうれしい」とイベント開催に感謝し、礼旺さんも満面の笑みを見せた。

 主催したNPO法人湘南バリアフリーツアーセンター(同市雪ノ下)の榊原正博理事長(46)は「鎌倉だけの1日限定の特別なイベントにするのではなく、障害のある人も水遊びやマリンスポーツを自由に楽しめる機会をこれからもっとつくれたら」と話した。

水遊びを楽しむ参加者=鎌倉市坂ノ下

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