札幌液状化「降雨と強い揺れが原因」 関東学院大研究員が分析

 北海道の地震による札幌市清田区の液状化発生地点は、雨水や地下水が集まりやすい谷地形で、地震前の降雨も影響したとみられることが、関東学院大防災・減災・復興学研究所の若松加寿江研究員の分析で分かった。雨で地下水位が高くなっていた時に強い揺れが加わるという「複合的な要因があった」と判断している。

 地形図などを分析した若松研究員によると、顕著な液状化被害が起きたのは、昔あった二つの谷の合流地点。道路の陥没や住宅の傾斜、大量の噴砂といった液状化特有の様相を呈している。

 この一帯は造成され、現在は宅地だが、水を含むと流動しやすい火山灰質の砂で盛り土などが行われたと考えられるという。

 加えて地下水の存在があるとみられ、「昔の谷筋では、沢が見えていなくても必ず地下水の流れがある。今も集水地形であり、水の通り道になっている」と若松研究員は指摘する。

 液状化が発生する地盤条件は、(1)砂を多く含む(2)締め固められていない(3)地下水位が高い-の三つ。こうした土地が震度5強以上の強い揺れを受けると、液状化が起きやすくなるとされている。清田区で観測された震度は5強だった。

 若松研究員は10日、神奈川経済同友会の例会で「液状化被害に備える」と題して講演。経営者ら約100人を前に、札幌の被害要因を報告したほか、東日本大震災や熊本地震の現地調査で明らかになった知見、95年前の関東大震災時の発生履歴などを解説した。

札幌で起きた液状化の要因などについて語る若松研究員=横浜市西区

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