【北海道地震】NTTとKDDIの船、通信確保へ横浜出港

 最大震度7を観測した北海道の地震を受け、横浜港を母港とするNTTとKDDIの海底ケーブル敷設船2隻が相次いで北海道に向けて出港した。スマートフォンの普及に伴いデータ通信の需要が高まる一方、停電回復後も通信設備への電力供給が不安定なことから通信手段を確保する狙いだ。

 NTTグループの「きずな」(8500トン)は10日夕、NTT基地局の非常用発電機を作動させるための燃料や小型発電機などを積み込み出港した。NTTワールドエンジニアリングマリン(横浜市神奈川区)によると、13日朝に北海道・苫小牧に到着する予定だ。きずなを被災地に派遣するのは初めて。東日本大震災を教訓に、災害時に資材を運搬できる能力や工事に必要な機能を搭載し、通信施設の迅速な復旧を図る機能を備えているという。

 また、KDDIグループが所有する「KDDIオーシャンリンク」(9510トン)は6日に出港し、8日から北海道・日高沖に停泊。国内で初めて海上から通信エリアの復旧を図る「船舶型基地局」の運用を開始した。東日本大震災では道路の寸断や光ケーブルの切断で陸路からの基地局の復旧に時間を要した。この教訓を踏まえ、今回の運用を決めた。停電の影響で陸上基地局が十分に機能していないエリアでも、auユーザーは携帯電話の利用ができるようになる。

雨が降る中、北海道に向けて出港する「きずな」=10日午後5時25分ごろ、横浜港

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