パラアスリートの相棒をつくる兄貴分 シート製作職人・中島博光さん

中島博光さんがチェアスキーのシートを開発し始めた時期は、今から約20年前。ある日出席したスポーツ向け福祉用品のフォーラムで、チェアスキーのシート構造の進歩が遅れていることについて講師に質問したところ「作り手が見つからない」、と言われ、それなら自分がやろうと思い立った。

2000年に狩野亮選手(アルペンスキー)のシート製作を手掛けたことをきっかけに、マラソン、バスケットボール、テニスなど、さまざまな車いす競技に携わってきた。

中島さんは徹底した現場主義で「製作したいならウチに来てください」というスタンスをとる。シートは選手にとって「相棒」。その相棒をつくり上げる中島さんはどの選手からも信頼され、兄貴的存在として親しまれる。車いすテニスのトッププレイヤー・国枝慎吾選手のことも「ツレ」というくらいの仲で、「選手との距離感が近くならなければ、選手は本当のことを語ってくれない」という。距離が近くなることで選手の癖や特徴を見抜き、シートづくりに生かすのだ。

 また、シートの製作作業は選手と共に行う。選手もシートの構造を理解しなければ、遠征先で問題が起きた時に対応できず、選手自身が困ってしまう。

以前は自分の作ったシートを使用している選手を応援するため、現場へ駆けつけていた。しかし、「選手自身がメカニック兼任」となることが選手自身にとって一番良い、と考えている今は、ゆっくり自宅のテレビで観戦するのが楽しみだという。 


中島博光(なかじま・ひろみつ)

中島博光さん (シート製作職人)

1970年2月20日生まれ 48歳 川村義肢株式会社

18歳で川村義肢に入社。下肢装具製作に携わっていたが、入社10年目にチェアスキーに出合ってシート製作に携わる。現在はチェアスキー以外の競技用シート製作もしており、これまでに106名のパラアスリートのシートを製作。世界のアスリートから信頼されている。

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