ウィリアムズは「サンボ」、大坂は「金髪女性」 豪紙風刺画に批判殺到

By 太田清

大坂なおみ選手と対戦するセリーナ・ウィリアムズ選手=ニューヨーク(共同)

 オーストラリア紙ヘラルド・サンが、女子テニスの全米オープン決勝で大坂なおみ選手と戦ったセリーナ・ウィリアムズ選手をからかった風刺画を掲載したところ、米国のジャーナリスト団体や公民権運動家らから「人種差別だ」などと批判が殺到。一方、同紙側は「風刺画として問題ない」と反論する騒ぎとなっている。米英主要メディアが11日までに伝えた。 

 同紙で長年、風刺画を描き続けてきたマーク・ナイト氏の手によるもので、全米オープンのコートで壊れたラケットの上でかんしゃくを起こし飛び跳ねるウィリアムズ選手の傍らで、主審が大坂選手に対し「彼女を勝たせることはできないの」と問いかけている。壊れたラケットの横には「怒りをなだめるもの」との意味から、赤ん坊のおしゃぶりも転がっている。 

 風刺画はSNSで拡散し、米国などでも広く知られることに。米CNNテレビ(電子版)によると、ウィリアムズ選手は「唇は大きく誇張され、鼻は黒人が差別されていた時代の描写を連想させる」一方で、大坂選手は「やせた、ブロンドの女性」のように描かれている。米国の黒人ジャーナリストらでつくる「ナショナル・アソシエーション・オブ・ブラック・ジャーナリスツ」は声明で「風刺画は多くの点で嫌悪すべきものだ。ウィリアムズ選手は不必要にサンボのように描かれている」と批判した。 

 米公民権運動の黒人指導者、故マーチン・ルーサー・キング牧師の娘バーニス・キングさんは「このようなイメージが持つ、歴史的、かつ痛ましい背景を考慮していない」と非難した。

 

 これに対し、ヘラルド・サン側は11日、声明を発表し「風刺画は人種や性差別とは何の関係もない。テニスのチャンピオン(ウィリアムズ選手)が世界的舞台でかんしゃくを起こし、それを描いただけだ」と反論。ナイト氏も「皆さんは誤解しているだけだ。風刺画は取り消しません」と主張した。 

 ウィリアムズ選手は8日の試合で、試合中に禁じられている「コーチング」があったとして1度目の警告を受けた後、ゲームを落とすと、いら立ってラケットを破壊。さらに主審に「泥棒」などと暴言を吐き、3度目の警告を受けゲームを落とした。 (共同通信=太田清)

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