【中村紀洋の目】稀代の強打者が語る打撃理論「指導されるものでなく、見て学ぶのがベスト」

阪神・大山悠輔【写真:荒川祐史】

阪神梅野、大山は「潜在能力が非常に高い」

 近鉄、ドジャース、オリックス、中日、楽天、DeNA(横浜)でプレーした中村紀洋氏の連載がスタート。プロ通算404本塁打を放ち、2000年に本塁打(39本)と打点(110打点)の2冠に輝いた稀代の強打者は、選手として豊富な経験を誇る。現在、動画配信も行っている中村氏に「野球理論」などについて語ってもらう。

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 暑い日が続いていますね。先日ですが、阪神の梅野選手、大山選手が僕の野球理論「N’s method」の動画を参考にして打撃に取り組んでいると聞きました。アマチュア、プロ関係なく私の野球理論を参考にして頂くのは自由ですし、野球好きの方々に少しでも役立ってほしいという思いで動画配信しています。参考にしてもらえるというのは動画が見やすくて解説がわかりやすいと捉えられるので、自分が指導する上で大きな励みになります。

 打撃は非常に難しいものです。なぜなら正解がないからです。選手個々で体つきも違うし、スイングも違う。同じ伝え方で悪癖が直るかというとそうではありません。むしろ長所も殺してしまう場合もあるので指導するというのは非常にデリケートです。

 これは個人的な考えですが、打撃は指導されるものでなく、自分で見て学ぶのがベストです。一方的に教えられたところで自分が理解していないと意味がありません。うまくなりたいと思って見て学べば吸収力が違ってきます。梅野選手、大山選手は共に潜在能力が非常に高いです。打撃向上の一環として、僕のYouTubeを観て成長材料にしてくれたらこちらも大きな喜びを感じます。

 プロの選手はもちろん、アマチュアの選手もほんの少しのきっかけで打撃は劇的に変わります。奥深いからこそ非常に面白い。今は浜松開誠館高校で非常勤コーチをしていますが、見違えるように打撃が良くなった選手を見ると本当にうれしいです。野球が大好きな皆さんがうまくなるための手助けとして「N’s method」をこれからも広めていきたいと思います。(近鉄、ドジャース、オリックス、中日、楽天、DeNA内野手)文/構成 ココカラネクスト編集部 平尾類

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