国水研が神経細胞死の仕組み解明 メチル水銀で過度に活性化

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メチル水銀による大脳皮質深部での神経細胞死のメカニズムを発表した国立水俣病総合研究センターの藤村成剛基礎研究部長=水俣市

 水俣病の原因物質メチル水銀による大脳皮質の損傷について、国立水俣病総合研究センター(水俣市)の藤村成剛[まさたけ]基礎研究部長らのグループは、メチル水銀摂取で生じた酸化ストレスが、大脳皮質深部の神経細胞を過度に活性化させ、壊死[えし]させることを確認した。

 オランダの学術誌「ニューロトキシコロジー(神経毒性学)」に発表した。藤村部長によると、胎児や小児期にメチル水銀を摂取すると脳が広範囲に影響を受けるが、成人では大脳の表面を覆う大脳皮質の深部に神経細胞死が集中。抗酸化剤がメチル水銀の毒性を抑える効果があることは分かっているが、理由は明らかになっていなかったという。

 藤村部長らは、これまでの実験でメチル水銀摂取の大脳への影響は大脳皮質の深部のみに現れることを確認。今回、ヒト神経由来の培養細胞を使ってメチル水銀と細胞死との関係を調べた。

 その結果、培養細胞にメチル水銀を加えると、酸化ストレスが通常の2倍程度に増加。それに続いて細胞の活性化を示す値も通常の5倍程度にまで増え、その後通常レベルまで減少し、壊死する現象がみられた。

 藤村部長は「酸化ストレスが大脳皮質深部の神経細胞死を引き起こすメカニズムを解明できた」としている。(山本遼)

(2018年9月12日付 熊本日日新聞朝刊掲載)