阿蘇立野病院看護局長に聞く 災害看護の現状と課題 医療継続へ迅速支援を

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阿蘇立野病院看護局長・野田輝美(のだ・てるみ)さん 南阿蘇村出身。銀杏学園短大卒。済生会熊本病院などを経て1997年から阿蘇立野病院。2013年から看護局長。

 全国各地で大規模な自然災害が相次ぐ中、被災地での看護職の役割などを議論する「日本災害看護学会」が8月、神戸市で開かれた。パネリストの一人として、熊本地震での看護活動について発表した阿蘇立野病院(熊本県南阿蘇村)の野田輝美看護局長(53)に、災害看護の現状と課題について聞いた。(田端美華)

 -立野病院は地震当時、幹線道路の寸断、裏山の崩落などで休止となり、入院患者77人は全員転院、職員180人も全員解雇。その後、“過疎化”した地域医療の窮状を受け、2カ月後に別の場所で診療所を開設、2017年8月に病院での診療を全面再開しました。

 「診療所を開く前から、医療団体の仮設テントを間借りしたり、院長と一緒に体育館などを回ったりしました。『安心した』と言ってくれる人が非常に多かった。地域医療の存続の重要性を改めて実感しました」

 「安心された理由の一つは言葉。震災直後、災害派遣医療チーム(DMAT)などが全国から駆け付けました。しかし、患者の言葉が熊本弁だと、うまく症状が伝わらない。患者が『あど』が痛いと言っても、私たちは『かかと』だとすぐ分かる。患者の言葉を私たちが支援チームに伝えました。患者や家族の希望を受け、地震後も在宅みとりに取り組めたのは地域の病院だからこそできた部分だと思う」

 -学会への参加を通じて、災害看護の課題は何だと思いますか。

 「被災地では医療の継続が何より重要。そのためには迅速な医療支援が必要であり、受け入れ窓口を普段から明確にすることが大事。高度な医療が必要な急性期を過ぎても、避難生活を続けていく中で感染症を発症することもある。常に医療は被災者の生活に必要だということを改めて認識していきたい」

 -今後の災害の備えについては。

 「北海道地震など災害はどこで起きるか分からない。支援を受けるだけでなく、全日本病院協会の災害医療支援の研修に参加するなど、被災地支援に自分たちも出向き恩返ししたいと思います。裏山の土砂崩れを想定した災害訓練も今年初めて取り組みました。災害への意識は確実に変わった」

 -立野病院は、県や県看護協会の呼び掛けで阿蘇地域を対象にした「復興応援ナース」を受け入れています。

 「北海道や兵庫県、香川県、山口県から4人の復興応援ナースが半年の契約で来ています。看護師不足は慢性化しており、人員が足りるまでは、制度を継続してほしいというのが阿蘇全体の願い。復興応援ナースの活動に感謝しながら、今後も地域医療を支えていきます」

(2018年9月12日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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