中部地区カラー鋼板市況、再び高値目指す展開 メーカー値上げを転嫁

 中部地区においてカラー鋼板の再値上げが本格化しつつある。鋼板メーカーは、一昨年秋より、段階的に製品値上げを実施したが、流通渡し価格への積み残し分を抱える。秋需が見込まれる時期に合わせて、転嫁完遂を目指す。特約店の中には、メーカーより再値上げをアナウンスされており、早ければ10月出荷分より、一段高の様相が強まりそうだ。

 鋼板メーカーは、一昨年秋より段階的に製品販価を引き上げてきた。引き上げ幅は合計3万円に上る。一時は鋼板メーカー、流通各社の強い販売姿勢により、末端に新価格が浸透しつつあった。特にガルバリウム鋼板の生地材は品薄感が生じ、陥没価格を底上げした。

 しかし、足元の建設需要は名古屋近郊に偏りがちで、他地区では需要は伸びていない。流通の中には採算より、販売量の確保を優先する姿勢が散見。その影響で末端では新価格を受け入れるムードが薄れ、メーカーも流通渡し価格への浸透が遅れていた。鋼板メーカーの未達分は、少なくともトン1万円程度とされる。「現行の販価では、塗料などの副資材や、配送コストなど諸費用上昇分をカバーできる水準に達していない」(鋼板メーカー)。

 中部地区では今秋以降、自動車関連メーカーの設備投資が相次ぐ。「厚番手を中心に需給がタイト化するかもしれない」(同)との声も上がる。このタイミングに合わせて、鋼板メーカーはこれまでの未転嫁分の解消に向け、値上げ攻勢を再び強め始めた。

 特約店も鋼板メーカーと同様、仕入れ値上昇分の積み残しを抱える。メーカーに追随し、完全浸透を目指すも、販売先である板金業者の施工価格は製品販価に比例して上昇していないことなどが、障壁となりそうだ。

© 株式会社鉄鋼新聞社