日立製作所がジルコニウムの効率回収技術を開発 高レベル放射性廃棄物から90%超

 日立製作所は、原子力発電所の使用済原子燃料を再処理する際に発生する高レベル放射性廃棄物の中からジルコニウムを90%以上の効率で回収する技術を開発したと発表した。高レベル廃液にモリブデンを添加してジルコニウムを含む沈殿物を生成し、沈殿物とフッ素を反応させることでジルコニウムを回収するもの。

 同研究では、廃液中のジルコニウムの元素濃度に対して3倍以上のモリブデンを添加することで沈殿物(モリブデン酸ジルコニウム)の生成が促進されることを明らかにした。添加するモリブデン量を最適化することで廃液中の95%以上のジルコニウムを沈殿させることが可能。沈殿物のジルコニウムとモリブデンの分離には日立が使用済原子燃料の再処理技術(フッ化物揮発法)を応用し、模擬高レベル廃液を用いた分離回収試験では回収率93%でジルコニウムを回収できることを確認した。今後は、高レベル廃液を用いた試験などで技術の確立と実用化を目指す。

 同研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発水深プログラム「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」の一環として実施されたもの。同プログラムは、長寿命核分裂生成物(LLFP)を短寿命核種もしくは安定核種に核変換することにより放射能を減らす方法の開発が進められており、今回開発した技術と組み合わせることでLLFPの低減と有用資源であるジルコニウムの回収が可能となる。

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