再春館バド部元監督の「不正」問題 「どんぶり勘定」を協会自省

©株式会社熊本日日新聞社

再春館製薬所の今井彰宏元監督を詐欺容疑で告訴した県バドミントン協会の会見=5月、熊本市の県立総合体育館

 再春館製薬所バドミントン部元監督の今井彰宏氏(48)が選手への報奨金などを不正に得たとされる問題で、日本バドミントン協会は10日、同氏に会員登録を無期限で認めない処分を科した。同氏側は「事実をねじ曲げられた」と反発しているが、日本スポーツ界の古い体質が問題の発生要因と指摘する声もある。(佐藤公亮)

 「体育会系といえば『どんぶり勘定』でやってきたところもあるが、それじゃいかん」。4月、県バドミントン協会幹部は熊本市内で開いた定期総会後の会見で自省した。 再春館製薬所は昨年1月、今井氏を監督から解任した。当初の理由は「社内事情」だったが、今年4月に急展開した。今井氏の退社に伴い、女子日本代表ダブルスの福島由紀(25)、廣田彩花(24)組が退社の意向を伝えていたことが明らかになると、同社側は「今井氏に金銭的不正があった」として日本協会に告発した。

 関係者によると、今井氏は前身のルネサス時代、通常は選手やチームに配分される賞金や国体強化費を自身の口座に入金させていた。チームが2015年に再春館製薬所へ移譲されて以降、賞金は同社法人口座に送金されるようになったが、世界バドミントン連盟からの報奨金などは県協会を通じて自身の口座に振り込ませた。今井氏の通帳を調べた同社と県協会は「公私の区別がつかない使い方だった」としている。

 しかし、今井氏側は詐欺行為を否定し、「日本協会の聴聞に対し、不正は認めたことはない」と反論。日本スポーツ仲裁機構などへ処分取り消しを申し立てる意向を示した。これまでも「部や選手の活動費に充て、私的流用はない」と繰り返し強調してきた。

 ただ、競技活動費を巡っては不適切な慣行が各所にあったようだ。かつての日本リーグ(16年度にS/Jリーグ移行)時代を知る関係者は、「所属会社が支給する活動費では足りない時もあり、選手の了解を得て賞金の一部を部内にプールしていた」。プール金は懇親会費や他チームを招いた際の接待費などに充てていたという。

 県協会は5月、報奨金をだまし取られたとして、詐欺容疑で県警に告訴状を提出。「今井氏を信じて振り込んだ」と訴えつつ、金銭の安易な扱いが原因になったと反省。本年度から国体強化費を含む金銭はチームの法人口座以外に振り込まないよう徹底している。

 東京五輪まで2年を切り、スポーツ界での「カネ」の動きが活発化すると予想される。早稲田大の友添秀則教授(スポーツ倫理学)は「日本の指導者と選手の関係は今も徒弟制度に近い」と指摘し、「賞金大会が増え、バブル期が到来している。それだけに細かな契約の必要性は高まっている」と警告する。

(2018年9月12日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

こんなニュースも

紙面を彩った火の国球児たち

「夏の甲子園100回」を記念し、熊本出身のスターたちの〝球児〟時代を取り上げます。 第3弾は「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治(熊本工出、人吉市出身)です。

ご購入はこちらから

Curated by

Curated by